オリーブは身体に有益な脂肪が豊富であるだけでなく、心臓の健康と代謝に良い抗酸化物質、抗炎症性の植物栄養素も含んでいます。
オリーブの木は、世界で最も古くから栽培されている樹木の1つです。ギリシャのクレタ島にあるオリーブの木は、樹齢はおそらく3千年以上でしょう。「ヴォーヴェスのオリーブ(olive tree of Vouves)」として知られているこの木は、世界で最も古いオリーブの木と言われています。
ヴォーヴェス(Vouves)のオリーブの木は今でもオリーブの実をつけ、オリーブの木が表す長寿、繁栄、そして平和の精神を象徴しています。
人間は、6千〜8千年前からオリーブを食しており、油の抽出だけでなく、食品、医薬品、スキンケア用として古くから利用してきました。初期のオリンピックの聖火もオリーブオイルで照らされていました。
古代ローマの作家、プリニウス(大プリニウス)は、オリーブを最も重要な植物の1つと表現しています。また、ナショナルジオグラフィック誌は、「旧約聖書の時代、敵のオリーブの木を破壊することは宣戦布告であった」としています。
未処理のオリーブは、オレウロペインと呼ばれる化合物を含み、捕食者から身を守るため、非常に苦いですが、鳥はオリーブを食べるときに、丸ごと飲み込むことで苦みを避けています。この行為がまた、オリーブの木の種子散布に有利です。鳥が種子を散布してくれます。
人間がオリーブを加工しておいしい食べ物に変えるプロセスをいつ発明したのかは正確にはわかりません。古代ローマ人は、オリーブの苦味をすばやく取り除き、おいしい食べ物を作るために、しばしばアルカリ性の塩水を使ったという記録が残っています。
オリーブの五つの利点
オリーブは核果で中心に硬い芯のある果実です。世界のオリーブの90%は食用油の抽出に使用され、米国市場でのオリーブの消費量は過去20年間で3倍に増えました。オリーブオイルを使用、あるいはオリーブ全体を食べること、いずれにも利点があります。
オリーブは一価不飽和脂肪酸が豊富であることに加えて、抗酸化物質、抗炎症性の植物栄養素も豊富です。抗酸化力が大変高いオレウロペイン、アピゲニン、ルテオリン、アントシアニジン、フラボノールなどのフラボノイド、没食子酸(もっしょくしさん)(別名:トリヒドロキシ安息香酸)が含まれます。一般的に、オリーブは約200種類の病気に役立ち、多くの健康上の利点があります。
1. 抗酸化
オリーブの苦みは、オリーブに最も豊富に含まれる抗酸化物質の1つであり、フリーラジカルを除去し、体組織への酸化による損傷を軽減することができます。
オリーブ抽出物は、低密度リポタンパク質(LDL、一般に悪玉コレステロールとして知られている)の酸化を防ぐのにも役立ちます。これらの酸化物は、特定の種類の心臓病を引き起こす可能性があります。オリーブは、さまざまな酸化ストレスを軽減し、体のあらゆる側面の代謝サイクルを保護することができます。
2. 心臓の健康に効果的である
オリーブは心臓の健康に特に効果があり、多くの種類の心臓病のリスクを減らすのに役立ちます。現在人気のある地中海式料理は、主な脂肪源としてオリーブを使用しています。
オリーブに含まれるポリフェノールは、いくつかの方法で心臓システムの健康をサポートします。
●高密度リポタンパク質(HDL、一般に善玉コレステロールとして知られている)を増加
●血栓性内皮機能障害を軽減
●酸化ストレスを防ぐ
●健康的な血圧レベルを維持する
●炎症レベルを下げる
●アテローム性動脈硬化症に関連する遺伝子の発現を有利に変化させる
3. 抗がん機能
オリーブには、強力な抗ガン効果があります。この成分は、癌細胞の増殖を阻害し、乳癌細胞の重要なエピジェネティック因子(DNA塩基配列の変化を伴わない、細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現型)を変化させることにより、癌細胞のアポトーシス(自己破壊)を誘発します。近年の研究では、オリーブの苦みを、乳がんの予防と治療の薬としてどのように使用できるかが研究されています。
4. 上気道感染の日数を短縮する
オリーブ葉エキスにもよく知られた用途があります。オリーブオイルに含まれる重要なポリフェノールであるヒドロキシチロソールとオレウロペインは、抗ウイルス性、抗菌性、抗炎症性、抗酸化性を持っています。
免疫力の弱い高校生のグループにオリーブ葉エキスのサプリメントを飲ませた実験では、呼吸器感染症にかかった日数が28%減少しました。これは、オリーブの葉が感染の持続時間を短縮するのに役立つことを示唆しています。
5. 抗糖尿病
オリーブオイルの使用は、糖尿病のリスクを減らし、糖代謝を改善します。たとえば、ヒドロキシチロソールは、血中脂質とインスリン感受性を改善しながら、酸化と炎症を軽減することができます。
グリーンオリーブとブラックオリーブの違い
オリーブは1000種類以上ありますが、そのうち139種類が、世界のオリーブの総生産量の85%を占めています。ピクアルとアルベキナは2つの最も人気のある品種です。また、カリフォルニアで一般的に栽培されているミッション種は、テーブルオリーブ(オリーブの実の漬物)として人気があります。
カラマタ種はよく知られているギリシャのオリーブで、食用または食用油の抽出に適しています。熟すと皮は紫黒になり、年に一度だけ収穫されます。
最もよく知られている二種類のオリーブは、グリーンオリーブとブラックオリーブです。スペイン産オリーブとも呼ばれるグリーンオリーブは、緑色でまだ熟していないときに収穫され、加工されて食べられます。ブラックオリーブは主にカリフォルニア産で、カリフォルニア・ライプ・オリーブとも呼ばれ、これも緑色で熟していないときに収穫されます。
多くのオリーブ外皮が黒いのは、アルカリ溶液で漬ける過程で表皮が空気に触れた結果です。栄養価と風味が最高になるように、オリーブを選ぶときは、できるだけアルカリ性のものではなく、伝統的な製法で漬け込んだものを選びましょう。
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この記事は英文「エポックタイムズ」で掲載された「All About Olives: 5 Reasons to Eat Them」を翻訳したものです。
(翻訳・星野一)
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