年齢のわりには、白髪が早く現れる人がいます。そのほか、頭皮の脂が多い人、ぬけ毛に悩む人も多くなっているようです。
今も活かせる「薬王の教え」
唐の時代に、孫思邈(そんしばく)という著名な医者がいました。
特に薬学の研究発展に尽くした功績により「薬王」と称賛され、後世の人から大きな尊敬を受けています。
その孫思邈の著書に『千金食治』があり、その中に「養生十三法」という記述があります。その「養生十三法」の第一は「髮常梳(髪は常に梳かす)」です。
その部分を要約すると、こうなります。
「両手を36回こすり合わせ、その温めた手により、前額部から手櫛で髪をかき上げる。これを朝晩10回ずつ行う。頭部には重要なツボがあるので、この動作をよく行うことによって、視力を良くし、風邪(ふうじゃ)を除去するとともに、頭痛や耳鳴りを防止し、白髪や脱毛を防止できる」。
頭皮を柔らかくマッサージする
確かに、温めた手で髪と頭皮をマッサージすると、とても心地よく、頭部のツボ押し効果も期待できるでしょう。現代では、手櫛の代わりに、柔らかいゴム素材の櫛(またはブラシ)でもできます。
その際の注意点として、「櫛の歯は、あまり密でないほうが良い」「柔らかいゴム素材の櫛。または木製、牛角、羊角の櫛が良い。プラスチック製の櫛は避ける」「とがった歯先の櫛は使わない」の3点があります。
櫛の歯が細かすぎると髪の毛が引っ張られ、毛根に良くありません。また静電気も起きやすくなります。固いプラスチックの櫛や、とがった歯先の櫛は頭皮を傷つけやすいので不向きです。
要は、当たりの柔らかい櫛や指先で、頭皮を傷つけずにマッサージすることです。
孫思邈の説くところも、頭部の経絡をほどよく刺激して、血気を活性化することで白髪や脱毛を防ぎ、また全身の健康状態を改善しようとするものです。
4種類の「黒い食物」をとりましょう
漢方医学によると、食べたものは、食物の「五色の色」の分類によって五臓に入り、その気を養うと言います。
黒い食物はまず腎(腎臓)に入り、その臓器の気を養うとともに、黒々とした新たな髪をつくります。
そこで、腎気を増強するためには、黒ゴマ、黒豆、黒桑の実、黒米など黒い食材が薦められます。
これらの食物は、髪に必要な微量元素も提供します。
さらには、これらの食材に含まれる栄養物質に加えて、次の表でご紹介する7種の漢方薬が相乗効果を発揮すると、髪の毛の再生に一層役立つと言われています。
7種の漢方薬は、何首烏(ツルドクダミ)、女貞子(ネズミモチ)、旱蓮草(カンレンソウ)、核桃(クルミ)、黃精(オウセイ)、熟地黃(アカヤジオウ)、補骨脂(ホコツシ)です。
頭皮をケアする5つのポイント
そのほか、以下の5つのことが、頭皮のケアと髪の毛の再生に効果的です。
1、バランスの良い食事
刺激物を控えて、タンパク質、ビタミン、ミネラルを多く摂ります。
2、規則正しい生活をする
夜更かしをせず、十分な睡眠をとりましょう。タバコは禁煙。過度な飲酒も控えてください。適度な運動をすることも、お忘れなく。
仮に「規則正しい生活」をしていない人がいて、その彼が「現在は、白髪もなく、脱毛もしていない」とします。しかし、それはおそらく遺伝子の違いによるものなので、不規則に生活しても構わないということではありません。
3、気持ちをリラックスさせる
気分の落ち込みやストレスは、髪の毛に良くありません。
適度に心身のストレスを発散し、気持ちをリラックスできれば、白髪や抜け毛を減らすこともできます。
4、髪を傷めないよう注意する
パーマをかけたり、髪を染める回数は、なるべく減らしましょう。品質の低いシャンプーも使わないほうが安全です。
これらは周囲の毛包を傷つけて、抜毛しやすくなることがあります。白髪が出ても、無理に抜かないでください。
5、頭皮の血行を促進する
毛包への血液供給を改善するヘッドマッサージを行います。
髪を洗う際に、経絡に沿って両側の率谷穴をマッサージし、百会穴を軽く叩き、風池穴を押すと、頭皮の血液循環が改善されます。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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