「今は抗生物質が効かない時代」どの天然食品で代替できるか?
スコットランドの細菌学者アレキサンダー・フレミングが、1928年に最初の抗生物質ペニシリンを発見しました。以来、ペニシリンをふくむ各種の抗生物質は、細菌感染に対抗する特効薬として、世界中で何百万人もの命を救ってきました。
「抗生物質が効かない!」
しかし現代は、従来の抗生物質が効かない「超級細菌の時代」と言われています。
2007年に発見されたニューデリー・メタロベータラクタマーゼという細菌の新型酵素が作用して、各種の抗生物質に対して薬剤耐性(AMR)をもつ細菌が続出しているのです。
最近の10年間を見ても、ほぼ全てのタイプの細菌が格段に強くなり、抗生物質による治療効果を低下させています。
感染の原因となる細菌やその他の微生物は、従来に比べて著しく強靭になったため、それらを死滅させるよう設計された薬剤が投与されても生き残るのです。
現在、臨床的に感染症を引き起こす細菌の約70%は、その治療に最も一般的に使用される薬剤のうち。少なくとも1種類に対してすでに耐性をもっています。結核、淋病、マラリア、小児の耳の感染症などは、抗生物質による治療が困難になっているほんの数例に過ぎません。
よくある誤解は、人の体は抗生物質に耐性があるということです。実はそうではなく、「微生物が薬に耐性を持ってきた」のです。
抗生物質の天然代替物
幸いなことに、多くの自然食品に含まれる成分が、化学薬剤に代替できる強力な抗生物質の効能を持っています。
この「超級細菌の時代」には、優れた自然食品を見直し、活用することが一層望まれます。「天然の抗菌薬」として有益なものを、以下にご紹介します。
1、プロバイオティクス
プロバイオティクスは、アンチバイオティクス(抗生物質)に対して提案された用語です。
実は、80%の免疫システムは腸内にあります。腸内細菌叢は、腸粘膜を強化することで免疫系を保護し、病原微生物の侵入を防ぐのに役立ちます。
プロバイオティクスは抗生物質とは対照的に、活性微生物として定義されています。有益な腸内細菌叢が活発な時は、病原性細菌に対する抵抗力が高まるのです。
プロバイオティクスのうち、例えばラクトバシラス(乳酸桿菌)とビフィズス菌は、腸の酸性度を上げて、多くの病原性細菌の増殖を阻害する有機化合物を産生することにより、腸内細菌叢の健全なバランスを維持します。
プレーンオーガニックヨーグルトはプロバイオティクスの優れた源です。
ただし、一部のヨーグルト、特にフルーツベースのヨーグルトには、生きている細菌がまったく含まれていないものもあります。
2、オレガノ・オイル(Oregano Oil)
これまでに研究された全てのハーブ植物の中で、オレガノは最も効果的な天然抗生物質であることが示されています。
抗菌に関する研究では、オレガノ・オイルは抗生物質と似た効果がある上、全く安全に使用できるとともに、抗生物質のような耐性菌は発生しないことが分かっています。
3、ニンニク
ニンニクの抗菌性については、古くから記録されています。
ニンニクの有効性は、抗生物質であるペニシリン、ストレプトマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリンなどと同程度であることが臨床研究で示されています。
さらに、処方された抗生物質に反応しなくなった一部の耐性菌にも、ニンニクは有効であることが示されています。
4、プロポリス
プロポリスは粘性のある液体で、ミツバチによって作られる植物性樹脂の混合物です。
35年ほど前に、最初の抗生物質の化合物であるガランギンとピノセムブリンが、プロポリスから発見されました。それ以来、プロポリスから多くの重要な抗生物質が分離されています。
プロポリスは、潰瘍関連細菌であるヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を阻害することができます。またプロポリスは、大腸菌感染症およびカンジダ症の治療に使用されています。
5、ティーツリーオイル
ティーツリーオイルはオーストラリア原産で、ざ瘡(にきび)、水虫、および爪水虫を含む様々な皮膚感染症に用いられます。
6、コロイダル・シルバー(Colloidal Silver)
コロイダル・シルバーは単細胞細菌、ウイルスおよび真菌の酸素代謝に必要な酵素を無効にします。数分以内に、病原体は人体に害を及ぼすことなく窒息してしまいます。
7、ウコン(Turmeric)
ウコンは、ターメリックとも呼ばれ、インドおよびアジアの料理に欠かせない香辛料です。
ウコンはまた優れた抗炎症植物であるため、特定の細菌や寄生虫、および真菌の増殖を阻害します。
上記の天然食品は、それぞれ優れた抗菌効能がありますが、症状の程度によっては医療機関の処方による薬が必要になる場合もあります。また、インフルエンザなどのウイルス感染症には効かないことも、あわせてご理解ください。
(文・Lisa Roth Collins/翻訳編集・鳥飼聡)