新研究:ハチミツが流感ウイルスを抑制する
1万年前には、ミツバチの巣からハチミツを採取する「採蜜」が行われていたと言いますので、人類の歴史は、ハチミツとともにあったといっても過言ではないかもしれません。
ハチミツは、人間が自然から受ける恵みのなかで、おそらく最も美味な食物の一つでしょう。
そのハチミツに強い殺菌力があることは、以前から知られていました。近年の研究では、インフルエンザウイルスに対しても、その活性を抑制する強力な効果があることが明らかになっています。
研究によると、一般的なH1N1インフルエンザウイルス株について、このウイルスを犬の腎臓細胞(MDCK)に感染させた後、種類の異なるハチミツに触れさせてその変化を観察しました。
実験に使われたハチミツは、それを採集した花で分類すると、マヌカ(manuka)、ソバ(soba)、ハニーデュー(honeydew)、アカシア(acacia)、レンゲ(renge)です。
研究結果を以下の図に示します。
試験に用いた全てのハチミツは、ウイルス感染を阻害する結果を示しました。
阻害の程度は、いずれもハチミツの濃度と相関関係を現しました。興味深いことに、ハチミツの種類によって、その効き目に個性が現れたことです。
それら抗ウイルス活性を示したハチミツのなかで、最大の効力を示したのはマヌカハニーでした。
マヌカハニーとは、マヌカの花から採取されたハチミツです。色は茶色にちかく、非常にねっとりとして、粘度が高いのが特徴です。
研究者は、ハチミツの抗ウイルス活性は、その中に含まれる複数の植物化学物質、特にフェノール酸とフラボノイドに起因する可能性があると指摘しています。
最後に研究者は、「我々の得た結果は、全てのハチミツ、特にマヌカハニーがインフルエンザウイルスに対して強力な阻害活性を有し、可能な薬用価値を示した」と結びました。
良質の自然食品であるハチミツは、大人から子供まで服用することができます。
ただし、1歳未満の乳児は「乳児ボツリヌス症」の危険があるため、食べさせてはいけません。
(翻訳編集・鳥飼聡)