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東洋文化と西洋文化の出会い 老子とソクラテス

紀元前800年頃から紀元前200年にかけての時代は、人類の思想史の中で最も輝かしい時代となっています。この文章の主人公である老子ソクラテスをはじめ、この時代には、後世のために信仰体系を確立した聖人が東方と西方に何人も現れています。

老子は中華文明の道教信念体系を確立し、ソクラテスは西洋文明のギリシャ哲学体系を確立し、東西の古典文化の主要な道徳観と精神的核心を作りました。

残念ながらこの二人の賢者がそれぞれの国で知友を見つけることはできませんでした。老子は五千の真言を残しましたが、中原を去りました。ソクラテスは自分の言葉のために有罪判決を受け、アテネの貴族から死刑を宣告されました。ソクラテスは死刑執行前までに、弟子たちに自分が悟った真言を語っていました。

では、もしこの2人が同じ時空で出会ったとしたら、互いに知友となり、宇宙の深遠な謎を探求するでしょうか? この二人の賢明な対話を想像してみましょう。

* * *

少しばかりの利益を求めて互いに争い合っている人と安価な商品を買うために争っている人を見たとき、ソクラテスは「満足する者が最も豊かである。満足すること自体が富であるからだ」と嘆いています。

老子は笑顔で髭を捻りながら「その通りだ。満足する者が最も豊かである」と言いました。

ソクラテスは街頭で大声で商品を売買している商人を見たり、また車馬が道を盛んに往來するのに出会ったり、また、ぜいたくで享楽的な生活をしている人々を見たり、また彼らが様々な欲望に溢れた酒場で歌い、踊り、また騒々しく諍いを起こしているのを見て、彼は「あらゆる騒音を越えて、沈黙は最も繊細なメロディーである」と語りました。

老子は「欲望を根絶すれば、世界は自然に平和になる」とソクラテスに同意しました。

そして、ソクラテスは「彼らは自らを知るべき」と強調しました。

老子も「そうだ。他人のことを知るのは賢いことであるが、自分のことを知ることこそが賢明である」とソクラテスの観点を認めました。

この時、金持ちの青年がそこを通りかかり、二人の聖人の言葉を聞いて、知恵に満ちている会話だと感じたようです。この青年はとても富裕な生活をしていたのですが、心から悲しみに打ちひしがれるような事にしばしば出会っていました。彼は高級な品物を買ったり、より多くの美人と付き合うことにより、その悲しみを追い払おうとしていました。彼は、幸せになるためのコツを究明するために、この二人の聖者に近づいてきました。

「貴重で稀有なものは、人々に不正の行為をさせ、害を及ぼす」と老子は嘆きました。

ソクラテスは「一番小さなことでも満足できる人が一番裕福である。何故なら満足を感じることが自然が与えてくれる富だからだ」と述べました。

青年は、何かに気づいたかのように自分の前半生を思い出しながら、思索にふけりました。

ソクラテスは「最小限の欲望しかもたない人間は、神にもっとも近い」と続けて語ります。

その時、ある宗教学者が通りかかり、ソクラテスが神様について論じているのを聞いて、自分の知識を誇示せずにはいられず、二人の聖人の前で世界中の宗教の起源、歴史、教えについて色々と論じていました。

二人の聖人はお互いを見て微笑しました。

「私は人に何かを教えることはできない。彼らに考えさせることだけだ」と、ソクラテスは言いました。

また老子は「知る者は語らず、語る者は知らず」と続けて語りました。

あの宗教学者は、この二人は自分より賢明であることを気づいたようで、立ち去るしかありませんでした。

* * *

世界の長い歴史の中で、何千冊もの書物を読んでも、一言も残すことができなかった学者は数え切れないほどいますが、真に聖者の言葉は、千年経ってもその輝きを消すことはできません。

(翻訳・徐綺璠)

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