心筋梗塞を予防するために、皮膚のむくみや、耳たぶに現れる兆候に注意してください。(Shutterstock)

心筋梗塞を予防するために「皮膚と耳たぶの兆候に注意して」

突発的に起こる心筋梗塞。しかし、普段から自覚する機会が少ないために、自身のもつリスクに気づいていない人も多いようです

そのような心筋梗塞も含めて、皮膚や耳たぶに現れる兆候が、あなたの心臓病の危険度を伝えているかもしれません。

「皮膚のしこり」で心臓病を予測できますか?

これは台湾で実際に起きたことです。

まだ21歳の若い兵士が、歩哨の任務を終えた後、突然胸の痛みに襲われました。顔色は青白く、ひどい呼吸困難です。緊急搬送されたところ、急性心筋梗塞であることが分かりました。

心臓の3本の冠動脈のうち、2本の動脈で狭窄を起こしています。すぐにバルーン拡張手術が行われました。血管のなかにステントを挿入し、なんとか命をとりとめました。

一般的に心筋梗塞になる患者は、50歳以上が多いとされます。厳しい訓練で鍛えられており、太っているはずもない21歳の兵士が、なぜこの病気になったのでしょうか。

もともと彼は、好んで揚げ物を食べ、酒を飲んでいました。16歳からタバコを吸いましたが、兵役のストレス喫煙量が増え、1日1箱半吸っていました。血液検査では、総コレステロールおよび低比重リポタンパクが高値でした。

実は「太っていない」は落とし穴で、多くの心筋梗塞患者は、むしろやせているのです。では、この若者は、心血管に関係するリスクをもっと早く発見する機会がなかったのでしょうか。

答えは、彼の皮膚の上にあります。報道によると、彼の両肘には3つの黄色腫が現れており、検査では下まぶたにも数個ありました。両肘の黄色腫は、数年前から自分でも気づいていましたが、痛くも痒くもないので「気にもしなかった」と言います。

黄色腫は、主として過剰なコレステロールが皮膚に沈着して発生します。それと同時に、血液中のコレステロールが心臓の冠動脈、頸動脈、さらには脳動脈などにも沈着して動脈硬化性狭窄を起こします。とくに冠動脈が先に狭くなり、心筋梗塞を招きます。

オランダのある調査研究によると、遺伝子検査で家族性高コレステロール血症と診断された人のうち、黄色腫のあるグループはそうでないグループに比べて、心血管疾患を発症するリスクが3.2倍も高くなると言います。

いずれにしても、皮膚にこのようなしこりが見つかったら、年齢に関係なく、また痛みや痒みがなくても、軽く見てはいけません。

 

皮膚にしこりが見つかったら、痛みや痒みがなくても、軽く見てはいけません。(Shutterstock)

耳たぶに「斜めの線」が出ていませんか?

お気づきであるかどうか分かりませんが、多くの高齢者では「耳たぶに斜めの線」があります。耳のうち、下に垂れさがった柔らかい部分に、シワのように見える線が、斜めに刻まれるのです。

耳たぶの斜め方向のしわは、「フランクのサイン(Frank.s Sign)」とも呼ばれています。

デンマークの「コペンハーゲン心臓研究」が35年にわたって追跡した資料によると、耳たぶに「斜めしわ」ができる人は、虚血性心疾患、心筋梗塞を発症する確率が9%高かったと言います。

同資料では、真皮結合組織の病変は「耳たぶのひだ」に変化を起こすが、同じ系統の病理過程により、動脈の内膜結合組織の病変が起こり、虚血性心疾患や心筋梗塞を引き起こすと説明しています。

「黄色腫」や「耳たぶの斜め方向のしわ」によって心臓病を予測できるとするのは、一種の「占い」ではないか、と思われるかもしれません。しかし、皮膚と耳に現れた兆候が何らかの情報を伝えているならば、私たちは注意するに越したことはないでしょう。

(文・張立人/翻訳編集・鳥飼聡)

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