クルミ、アマニの抗がん効果
毎日適量のナッツ類や種子類を食べることは、健康維持に効果があると言われています。
なかでも注目されているのは、こうしたナッツや種子を食べることが、発がん抑制や、がん患者の死亡リスク低下の可能性を示唆しているということです。
ある研究によると、思春期にナッツ類を毎日1個または数個食べた女性は、老年期以降、乳がんになるリスクが24%減少すると言います。
クルミ(胡桃)を食べることも、乳がん抑制につながることが報告されています。
研究者は、1日60gのクルミを食べることで、すでに診断された乳がん患者の遺伝子状態を2週間で劇的に改善することができると指摘しました。
また、ある臨床試験では、乳房腫瘍の状態を検査するために細針切片(穿刺吸引細胞診)を行った女性に、最初の細胞診から2週間後の追跡手術までの間、1日60 gのクルミを食べるように求めました。後日の組織検査では、確認された456の遺伝子について状態が改善していることが示されたのです。
また、女性を対象とした大規模なプロスペクティブ研究(データ収集)では、ナッツ類を毎日とることが、大腸がん、直腸がん、および膵臓がんの発症リスク低下と関連していることが確認されています。
アマニ(亜麻仁)、チアシード、ゴマなどの種子には、リグナンと呼ばれる植物エストロゲンが豊富に含まれています。これらの化合物は抗エストロゲン作用を有し、乳がんや腺がん予防の可能性があることが知られています。
観察研究によると、アマニ摂取量が増えると乳がんリスクが低下することが示されています。
早期にアマニ摂取を開始すれば、発がん抑制の効果はより高くなりますが、仮にがん発症が認められた患者でも、アマニを摂取することによる改善効果があるとされています。
ある実験では、新たに乳がんと診断された女性について、手術を受けるまでの約35日間、毎日プラセボ(試験用偽薬)のマフィンを食べたグループと、25gのアマニを含むマフィンを食べたグループで比較しました。
彼女たちの腫瘍組織について、介入前と手術時に分析したところ、アマニ食のグループでは明らかな「腫瘍細胞の死」が認められ、腫瘍細胞増殖の度合いも減少していました。
さらに印象的な研究では、乳がん患者の女性を10年間追跡したところ、リグナンを多く摂取した女性では死亡率が71%低下したと言います。
こうした数々の発見は、私たちの身近に、誰でも入手可能な「発がんを抑制する食材」「がん死亡リスクを軽減する食材」があったことを意味するものと言えるでしょう。
ただし、こうした食物は、大量に食べるのではなく「少量ずつ毎日とる」が原則です。
(文・Joel Fuhrman/翻訳編集・鳥飼聡)
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