免疫力が十分であれば「病気にならない」
体が健康であるためには、免疫力が十分でなければなりません。
免疫系の最も重要な機能は、死んだ細胞および欠陥のある細胞を除去することです。
その効率は、毎日の食事や生活上のストレスによって、良くも悪くもなります。また一般的には、加齢とともに低下するとされています。
成人は、およそ年に2~5回ほどは風邪を引きますが、高齢になると、風邪をひく回数が多くなる一方、回復するまでに要する日数が長くなるのが一般的です。
場合によっては、気管支炎、肺炎、敗血症、膀胱炎、カビ菌の感染など、深刻な感染症も引き越す可能性があります。
ほかにも、私の母に長年つきまとってきた関節リウマチ、日本の安倍晋三元首相の辞任の一因にもなった潰瘍性大腸炎など、治療が長期にわたる免疫系疾患があります。
調整するべきは「深層免疫力」
西洋の薬草学では、免疫力を調整する上で、表層と深層に分ける「分層」が必要だと考えています。深層免疫力を活性化することで、表層免疫力とホルモンのバランスを起動させるのです。
仮にこれを、中国伝統の五行(ごぎょう)思想に対照させれば、免疫力は肺、脾臓の機能運行に最も相関しており、脾臓、骨髄、血球などの製造および気血の全身への輸送と密接に関係しています。
特に、長期にわたって免疫不調に悩まされている人は、薬物治療によって表層免疫力だけを回復させようとしても、根本的な問題解決には至らないのです。
深層免疫力の向上は「体質の調整」に重点を置きます。特に、長期にわたるアレルギー、体の慢性的な炎症(例としてヘルペス、汗疱状湿疹、喘息など)は体の深層免疫力と関係があるのです。
そこでこれらの改善には、黄耆(オウギ)、五味子(ゴミシ)、刺五加(エゾウコギ)、エキナセア(ムラサキバレンギク)、霊芝(レイシ)、党参(トウジン)などの薬草茶をお勧めします。
「苦味のある薬草」が効果的
次に注目したいのが「苦味のある薬草」です。
人間が苦いと感じる薬草は、胃腸の消化促進と保健に有益であることが、数千年の歴史によって証明されています。苦味は、味蕾(みらい)と中枢神経の連結を刺激する味覚ですので、食欲を刺激し、関連する消化液(例えば唾液、胃液、胆汁)を生成します。
胆汁は脂肪の代謝を助けるため、肝火(肝臓の余分な熱)を除去し、毒素を排出する作用と臓器修復力の促進に役立つのです。
苦い薬草で血糖を安定させることは、同時に便秘が解消されるなど、脂肪肝を改善する多くの利点があります。ゴマの葉、タンポポ、アーティチョーク、油麦菜、チコリなどは、いずれも苦い食材で、消化を助け、腸の活性化を促すとともに、腸内の健康と栄養の吸収を促進します。
そのほか、苦い薬草にはセイヨウノコギリソウ、ホップ、カモミール、ヨモギ、マリアアザミなどもあります。これらは食欲を促進し、肝臓の胆汁製造を促進し、胆嚢から胆汁を放出する機能を強化します。
胆汁の重要なはたらき
一部の人は、胆嚢の炎症あるいは胆石のため、この部分の機能が滞っている場合があります。
胆汁が正常に供給されていることは、脂肪の代謝を助けるとともに、肝臓、膵臓、12指腸の機能を助けますので、虚弱体質の改善、血糖値の安定、および体の排毒機能を助けることにもつながります。
私の毎日の食卓には、必ず上述のような苦いハーブや食材が並びます。それらは、お茶に混ぜたり、料理の一部になったりするのですが、いずれも私の免疫機能を整えるはたらきがあることを十分に実感できるものです。
私は、生薬をあつかう臨床薬剤師として長年勤めてきましたが、実は私自身、若い頃に10数年にわたって脂肪肝を患ってきました。糖尿病の病歴もあります。
そこから私は、薬草治療をふくむ自己治療を始めたわけですが、脂肪肝については2年で完全に解消することができました。糖尿病も、今ではなくなっています。
私の経験と実践が日本の皆様のお役に立てば、幸甚に存じます。
(文・郭姿均/翻訳編集・鳥飼聡)
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