中国の改正海上交通安全法「国際的な合意と規範に反する」=米国沿岸警備隊
米国沿岸警備隊の太平洋海域の最高指揮官マイケル・マカリスター氏は3日、中国が施行した「改正海上交通安全法」は非常に懸念されるものであり、「国際的な合意と規範」に反すると批判した。また、同法は「不安定さと潜在的な紛争の基礎を築き始めることになる」と警鐘を鳴らした。
中国海事安全局は8月27日、海上交通安全法に基づいて中国が主張する「領海」を航行する外国の潜水艦や原子力を動力とする船舶に対して、9月1日から目的地や搭載内容の報告を義務づけると発表した。
改正案では、「中国の領海の安全を脅かす」外国船を退去させる権限も有するとした。また、違反した場合は、外国船を追跡できると規定した。
この改正案を受けて、マカリスター氏は、米国沿岸警備隊は中国の攻撃的で強圧的な行動を憂慮している主要なパートナー国を支援し、協力していくと述べた。また、これらの国が、中国の抑圧的な行動に対応する能力が不足していると懸念を示した。
中国が施行した改正法により、地域の緊張を高め、外国の商船や軍艦が頻繁に航行する南シナ海、東シナ海、台湾海峡で紛争が勃発する可能性も指摘されている。
今回の改正法を受けて、中国と南シナ海の領有権を争うベトナムは、中国は国連海洋法条約(UNCLOS)の規定を厳格に遵守しなければならないとの声明を発表した。
米国防総省のマーティン・マイナーズ中佐は、中国の改正案がこの地域での米海軍の活動に与える潜在的な影響についての質問に対し、「米国は国際法が許す限り、飛行、航行、活動を続ける」と星条旗新聞に語った。
米海軍兵学校ストックトン国際法センターのラウル・ペドロゾ教授は、中国は国連海洋法条約に抵触したことで、「国際社会がどのように反応するかを試そうとしている」と述べた。
同教授は、中国は改正案を利用して、「(敵国に)武力行動を取らせないグレーゾーン作戦を実行し、近隣諸国を威嚇し、インド太平洋の法の支配をさらに侵害するだろう」と予測した。
(翻訳編集・山中蓮夏)