「中国は共同貧困に向かう」、国内経済学者が「共同富裕」に異例の警告
中国の経済学者は1日、当局が規制強化や市場介入を繰り返し、計画経済体制を再開すれば、中国は「共同貧困」に向かうと警告した。国内の学者が当局の「共同富裕」方針に警鐘を鳴らすのは異例なことだ。
北京大学の張維迎・経済学教授は、公共経済政策サイト「経済(50人)フォーラム」に、市場経済と共同富裕について評論記事を寄稿した。
張教授は、記事のなかで市場経済に肯定的な姿勢を示し、「歴史をみればわかるように、市場経済に反対する最大の勢力は、特権階級と既得権益者だ」と批判した。同氏は、「市場経済体制下こそ、技術は進歩を遂げることができる」と示した。
張氏は「労働者階級の収入を増やす最もよい方法は、企業経営者に自由に活動させることだ」「企業家を排除したら、中国国民の大半は極貧状態に戻るだろう」「われわれは、政府または慈善活動団体が貧困対策のために資金を提供したことと、これらの資金はもともと企業家らによって作り出された財であることを理解しなければならない」との見方を示し、中国当局の格差解消政策「共同富裕」や「富の再分配」を暗に批判した。
また、同氏は、「計画経済は一部の知識人によって設計されたものだ。強権によって、上から下へと強制的に導入された。(中略)市場経済は違う。知識人が設計したものではなく、社会の下から上へと自発的に生じた」と主張した。
張教授は、政府による市場介入が増えれば、中国は「共同貧困」に向かうしかないと懸念した。中国当局はかつて、貧困の差を是正するために計画経済体制を始めたが、「結果的に、貧困者が逆に急増し、貧困者の生活が一段と厳しくなった」。
中国当局は今年に入ってから、複数回「共同富裕」のスローガンを掲げた。8月中旬の中国共産党中央財経済委員会の会議は、国内の高所得層に対して「高すぎる収入を合理に調整する」などと「富の再分配」を進めていく方針を示した。
中国国内外では、習近平政権が毛沢東の政策方針である「共同富裕」を再び打ち出したことで、毛時代の計画経済や鎖国政策も再開される可能性があるとの懸念が出ている。
ブルームバーグは、張教授の寄稿は「異例だ」とした。
(翻訳編集・張哲)