米国太平洋艦隊による人道支援活動、パラオで完了 台湾も共同参加
米国太平洋艦隊(USPACFLT)の年次人道支援活動「パシフィック・パートナーシップ2020(PP21)」は、8月に米国太平洋艦隊と「災害管理・人道支援の中核研究拠点(CFE-DM)」が台湾の災害管理専門家等と共同で開催した人道支援・災害救援ワークショップをもって最終地のパラオで完了した。
今回で16回目を数えるパシフィック・パートナーシップの艦艇訪問は、主催国と提携国が一体となりインド太平洋全域の危機に対する準備態勢を効果的に整えることを目的とする活動である。8月10日から12日にかけて開催された人道支援・災害救援ワークショップでは、パラオ、台湾、米国からの参加者等が学んだ経験と教訓を共有し、さまざまな組織や国家が従うべきベストプラクティスを特定することに注力した。
災害管理・人道支援の中核研究拠点のジョセフ・マーティン(Joseph Martin)部長は、「提携諸国のインフラや災害緊急事態への対応能力の改善を目指して、今回のイベントではパラオ、台湾、米国の間で懸念事項に関する知識を積極的に交換することに焦点を当てた」とし、「パシフィック・パートナーシップは災害対応活動の複雑性およびこうした活動を主導する民間組織の役割を十分に認識している」と述べている。
パラオのスランゲル・ウィップス・ジュニア(Surangel Whipps Jr.)大統領の演説をもって開始されたワークショップでは、早期警告対応、捜索救助、省庁間の調整・協力、危機時の通信システムの強化に焦点を当てた講義や専門家の意見交換が実施された。
また、台湾における情報ベースの緊急操作に関するケーススタディ分析では、台風、地震、干ばつに対する台湾の緊急操作システムのベストプラクティスが注目を浴びた。 パラオのJ・ウダッチ・センゲバウ・シニア(J. Uduch Sengebau Sr.)副大統領は、「経験を共有して共に能力開発に取り組むことで貴重な知識や情報を得ることができる」とし、「災害を乗り越え、地域社会の救命能力を養うためにはこうした協力が不可欠となる」と話している。
今回のワークショップでは人道支援・災害救援に関する参加者等の専門知識を活用して、パラオの回復力と災害対策における相互理解の深化と能力開発に取り組んだことで共通の脅威に直面している提携諸国が一体となり、協力や調整に対する志が良好に示された。
パシフィック・パートナーシップの使命は主催国と提携諸国が協力を図りながら、地域の相互運用性と災害対応機能の強化および地域の安定と安保の改善を促進し、インド太平洋全域で新しく永続的な提携関係を推進することにある。
パシフィック・パートナーシップ活動の重要要素である人道支援・災害救援の専門知識を仰ぐため、今回は台湾が招待された。
災害管理・人道支援の中核研究拠点は米国国防総省の一組織で、米インド太平洋軍(USINDOPACOM)の直属となる。同組織は、危機の発生前、発生時、事後の意思決定を支える学術研究、民軍連携訓練、作戦の洞察を提供する30人近くの内容領域専門家(SME)で構成されている。
(Indo-Pacific Defence Forum)