8月30日、米国務省は、中国国籍の張建(ちょう けん)の逮捕につながる有力情報の提供者に、最大500万米ドルの懸賞金を拠出すると発表した。写真は米国務省庁舎(ALASTAIR PIKE / AFP )

米、 違法薬物販売で中国籍男を指名手配 500万ドル懸賞金提供

米国務省は8月30日、国際犯罪組織のリーダー格、中国国籍の張建(ちょう けん、Zhang Jian)の逮捕につながる有力情報の提供者に、最大500万米ドル( 約5億5000万円)の懸賞金を与えると発表した。

 

米司法省はすでに、麻薬性鎮痛薬フェンタニルやフェンタニル類物質をインターネットで米国の麻薬売人や個人に販売し、これらの違法薬物を米国に郵送したとして張を起訴した。

 

国務省の声明は、2013~16年までに、張が率いる犯罪組織が米国に輸入した違法薬物が原因で、ノースダコタ州、オレゴン州、ノースカロライナ州、ニュージャージー州の米国市民4人が過剰摂取で死亡し、また他の5人は深刻な健康被害を受けたとした。

 

声明によると、米国籍共犯者らはすでに有罪判決が確定しており、それぞれ20年の懲役刑から終身刑などを言い渡された。

 

張は香港や、ベトナム、タイ、シンガポールで化学工場を経営している。

 

フェンタニルは、強力な薬効を持つ合成オピオイド鎮痛薬。日本では麻薬及び向精神薬取締法における麻薬に指定されている。極少量の摂取でも死に至る恐れがある。

 

米政府側の概略統計によると、2020年の薬物過剰摂取による死亡者数は9万3000人を超え、前年比で2万1000人増の過去最多となった。死亡者の大半はフェンタニル関連だったという。

 

米国内で密売されているフェンタニルは、ほとんど中国から送られたものだ。フェンタニル密輸との闘いはすでに米政府の重要な優先事項になっている。

 

米議会の米中経済・安全保障問題検討委員会(USCC)が8月24日発表した報告書は、フェンタニルの米国流入を抑制するための中国側の協力は「不十分」で、米国側の取締りを妨げていると記した。

 

今年1月、麻薬密輸とマネーロンダリングの疑いで逮捕された中国製薬会社の上級幹部の中国人に対して、ニュージャージー州連邦地方裁判所は28カ月の禁固刑と、刑期終了後3年間の所外監視を言い渡した。

 

中国外務省の汪文斌報道官は8月31日の定例記者会見で、米政府が張を指名手配したことに関して反発した。

 

(翻訳編集・叶子)

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