17年間、地下牢で胆汁を採取されていた熊2頭を救出
国際動物慈善団体「フォー・ポーズ(Four Paws)」はベトナムのある違法な「熊の胆汁農場」の摘発に成功し、2頭のかわいそうなツキノワグマを救出した。2匹は金属製の檻に入れられたまま17年間、養殖場の地下室に閉じ込められていた。
フォー・ポーズがベトナム北西部のソンラ省(Son La province)で発見した2頭のツキノワグマは、極めて劣悪な環境に置かれていた。救助隊員によると、熊たちの状況は彼らが見た中で最悪のもので、2頭の熊は錆びて汚い檻の中に閉じ込められており、地下室は真っ暗で換気装置もほとんどなく、新鮮な空気を呼吸することもできず、腐った果物や野菜を食べてかろうじて生き延びていたそうだ。
17年間、太陽の光を見ることができたのは、麻酔なしで胆汁を採取されたときだけで、その痛みは計り知れないものだ。
アジアの伝統的な漢方薬では、熊の胆汁は非常に珍重され高値で売られている。昔は猟師が熊を殺して直接胆汁を取っていたので、熊にとってはまだましだったかもしれない。しかし今では、熊を閉じ込めて体に穴を開け、生きた熊の胆汁を採取する手口は残忍で非人道的だ。
ベトナムでは1992年にこの種の採取方法が法律で禁止されたが、現地の闇市が莫大な利益を提供しているため、372頭もの熊が引き続きこのような災難に見舞われている。
レスキュー隊によると、救助された雄のツキノワグマ「Xuan」は2004年から衣料品店が隠れ家にしているこの地下室に閉じ込められていた可能性があり、その時はまだ子供だったが、雌のツキノワグマ「Mo」はいつ閉じ込められたのか不明だという。
救助後、獣医師は2匹の熊に鎮静剤を注射し、医学検査を行ったところ、長年注射器に何度も胆嚢を刺されて胆汁を採取されていたため、2匹とも胆嚢関連の病気を患っており、「Xuan」には過体重や肝臓疾患もあり、檻を噛んで脱出しようとしたため、複数の歯が落下していた。
「Xuan」と「Mo」はすでに3月23日、10時間の「旅」の後、ベトナムニンビン省(Ninh Binh)の熊類保護区に無事に運ばれた。ここには40頭の熊が収容されているが、その大多数が違法な胆汁採取や密売の被害を受けていた。
同団体はフェイスブックページで今回の救助の写真を共有した。地下室には窓がなく、懐中電灯を使って仕事をしなければならない。
獣医師の評価では、この2頭のツキノワグマは長い長い回復期間を迎えているが、これからは全力で治療に取り組むという。フォー・ポーズは救助した熊たちが保護区域で新しい生活を楽しむことができることを願っている。
(翻訳 源正悟)