「窒息するような場所に隠れないこと」赤十字社のパンフ、密入国を手引き?
米国は急激な不法移民の増加に頭を抱えている。そんな中、テキサス州ウバルデ郡で、赤十字社が不法移民の密入国を「支援」する内容のパンフレットが見つかった。
ジョン・スーエル氏はウバルデ郡で自身が営む農場に、不法侵入した不法移民が落としていったパンフレットを拾った。赤十字社が発行した「移民のための自己救済方法(Messages of Self-Help for Migrants)」と題されたパンフレットの片面には、パナマから米国への移動ルートを示す地図が描かれ、避難場所や医療支援を受けられる場所が詳細に記されている。もう一方の面には、森やジャングルをより安全に移動する方法、入国監査官への対応方法など、不法移民が米国境を目指す道のりで役立つ情報がスペイン語で印刷されていた。
Center for Immigration Studiesの政策研究ディレクター・ジェシカ・ヴォーン氏は、このパンフレットは人命救助の目的を越えて、不法移民を助長するものであり、「不法移民のためのロードマップだ」と指摘した。
パンフレットには、安全のため女性はグループで移動し、国境を越える前には、親戚や友人と連絡を取ることなどのアドバイスが記されている。
また、走行中の列車から安全に飛び降りる方法なども記載され、「食事や休息をとっていないときは、列車に乗らないように。寝ぼけて落下の危険があるため」との注意喚起も見られた。
さらに、「窒息したり、溺れたり、体調を崩す可能性のある乗り物や狭い場所には隠れないこと。息ができる十分なスペースを確保すること」と明記されている。
赤十字国際委員会の広報担当者は大紀元に対し、「公平で中立かつ独立した組織として、私たちの活動は、移民の人道的ニーズに対応し、出身国、通過国、目的地のいずれにおいても、移民のステータスにかかわらず、尊厳を持って扱われることの保証に重点を置いている」との人道的支援を強調した。
また、このパンフレットはどこで配布しているのかという質問に、赤十字国際委員会から回答は得られなかった。パンフレットにはアメリカ、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、コスタリカ、パナマの7カ国の赤十字社のロゴが印刷されている。
ジュネーブに本部を置く赤十字国際委員会は2019年、100カ国で活動し、20億ドル以上を支援に当てたと最新の年次報告書で発表した。ウェブサイトによると、この資金は主に各国政府や赤十字・赤新月社からの寄付で賄われているという。
ヴォーン氏は、米国はこのチラシがどのようにして発行されるようになったのか、誰の資金提供によるものなのかを調査すべきだと指摘した。さらに赤十字国際委員会のしていることは「非常に危険で違法な犯罪行為を誘うものだ」とし、このような形で不法移民を援助すべきではないと批判した。
米国では不法移民問題が深刻化しており、7月、捕まった不法移民数が過去20年間で最高を記録した。バイデン米政権は先月、中米から米南部国境に押し寄せる不法移民の削減に向けた戦略を発表し、日本を含む国際社会の中米諸国への支援を盛り込むと共に、根本原因の対策を強化すると訴えた。
(翻訳編集・蓮夏)