テキサス州、中国企業による風力発電計画を無効に インフラ保護法通過で
中国共産党政権や軍とつながりを持つ中国企業が、米テキサス州西部にある米空軍最大のパイロット訓練基地近くで風力発電所を建設しようとする計画は、失敗に終わった。ニューヨークポスト12日の報道によると、同州で6月に成立した法案は同建設計画を無効にしたという。
新疆ウイグル自治区の実業家・孫広信氏が所有するGHアメリカ投資グループ(GH America Investment Group)は2015年、テキサス州バルベルデ郡で13万エーカー(約526K㎡)に及ぶ広大な土地を購入し、「Blue Hills Wind Farm」という風力発電所の建設を計画していた。
同計画を巡り、国家安全保障上の問題、重要インフラの保護、軍事基地の安全、敵対国による浸透、新疆ウイグル自治区での人権侵害や環境破壊など一連の問題が提起されていた。
テキサス州のドナ・キャンベル上院議員のリーダーシップの下で、同州のグレッグ・アボット知事(共和党)は6月7日、「ローンスター・インフラ保護法案(Lone Star Infrastructure Protection Act )」に署名し、同法案を成立させた。
同法案は、「敵対国」の企業がテキサス州の重要インフラに関与(投資、建設、企業買収など)することを禁止している。法案では中国、ロシア、イランや北朝鮮を「敵対国」と指定している。
アボット知事は翌日、テキサス州の電力網を改革するための一連の法案にも署名をした。
2020年12月、対米外国投資委員会(CFIUS)は、孫広信氏の建設計画を承認したが、新法案の成立でその決定は無効になった。
同風力発電プロジェクトをめぐって様々な問題点が指摘された。
政府関係者は、中国企業が米国の電力網に接続することで重大なサイバーセキュリティの問題を引き起こす可能性を懸念していた。
送電網への潜在的なサイバー攻撃は、電力会社の運営を混乱させ、大規模な停電を引き起こす可能性があるからだ。
たとえば、2019年3月に発生した米国西部の電力網へのサイバー攻撃により、カリフォルニア州、ユタ州、ワイオミング州の電力会社のシステムが数時間にわたり停止した。
また、風力発電所の建設予定地が、空軍最大のパイロット訓練施設であるラフリン空軍基地付近に位置している。米国とメキシコの国境まで数十キロしか離れていない。
一部の米議員は、中国当局が孫氏の風力発電の建設計画を隠れ蓑にしてスパイ行為を行うことや、近くの米空軍基地からの情報を収集し、軍事施設に干渉を行うことを懸念している。
ダラスに拠点を置くヘイマン・キャピタル・マネジメント(Hayman Capital Management)の創業者カイル・バス(Kyle Bass)氏も「中国軍の元将校に米国内の土地購入を許可するのはばかげている」と批判した。
「この土地は、メキシコと米国の国境に位置し、3万平方フィート(約2780㎡)の宿泊施設とプライベート滑走路を備えている。米国当局から監視されず、国境地域から人や貨物を往来させることも可能だ」と懸念を示していた。
また、同発電所の所在地がデビルズ川(Devils River)とペコス川(Pecos River)の間に位置していることから、風力発電所が「テキサス州で最後の最も原始的な川であるデビルズ川」の生態系に影響を与えることも危惧されている。
総資産19億ドルを保有する新疆屈指の富豪である孫氏は、中国軍の元将校で新疆青年連合会の副主席を務めていた。中国共産党政権と親密な関係にある人物とされている。
(翻訳編集・李凌)