【掌編小説】牛刀という道具  『荘子』より

東京の小田急線の車内で凶漢が刃物を振り回し、乗客10人を切りつけたという。

犯行につかった凶器は調理用の「牛刀」だと言うから、あきれ果てる。正しく使えば、これほど人を幸せにする道具はないのに、こともあろうに人を傷つけるとは何事か。

言うまでもないが、日本語では、調理につかうナイフのことを包丁(ほうちょう)という。なぜ包丁というのか。そんなことは知らなくても、きちんと料理がつくれれば良いのだが、思いもかけない反社会的なニュースがあり、しかも「牛刀」の名称が聞こえてきたので、牛刀の誇りと名誉のため、ここに一編書き残しておきたい。

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