旬にはちょっと早いですが、サツマイモのお話をします。
ご存じの通り、サツマイモの主な収穫期は秋です。
夏の今は、葉や茎が伸びているだけで、いわゆる「おイモ」の部分である地下茎は、まだ細い根っこのような状態でしょう。
サツマイモの葉と茎は、あまり多く繁茂すると、そちらに養分がとられて塊根(実の部分)が太らないので、ある程度を越えたら、適度にまびいて葉と茎を減らすそうです。
このサツマイモの葉と茎は、日本でも生産農家や生産地に近い地域ならば「食材」になることが知られていますが、ほとんど市場に流通しないため、都市部のスーパーで売られているのを見ることはないようです。
実際のところ、サツマイモの葉と茎は、非常に栄養価の高い「優良野菜」なのです。
台湾では、この部分も普通に販売されており、家庭で利用されるだけでなく、レストランのメニューにもあります。
そんな台湾でも、昔からサツマイモの葉が「広く食べられていたわけではない」そうです。
60歳代の女性・宋さんは、栄養があるからと、サツマイモの葉を子どもたちに食べさせてきましたが、自身が幼い頃には「これは昔、裕福な家の人は食べなかったの。普通は豚の餌にしていたのよ。私の家は裕福ではなかったので、人に笑われないように、こっそり食べていたわ」と言います。
それから半世紀が過ぎて、台湾では、サツマイモの葉の地位は大きく変わりました。
栄養豊富で利用価値が高いことが明らかになって以来、流通業者がサツマイモの葉に値段をつけ、スーパーに販路を開いて売ったのです。
今日、台湾でサツマイモの葉はレストランでも家庭でも、一般的な料理の食材になっています。
要は、発想の転換であると思います。
日本で、遠い昔は廃棄していた牛や豚のモツが、実は利用価値があると分かり、今では鍋や焼き物の料理になるのと同じでしょう。
もしもあなたが、趣味で家庭菜園をやっているとしたら、来年はぜひサツマイモを栽培してみてください。
サツマイモは、ほとんど手間がかからず、肥量も必要としないばかりか、秋の収穫までの期間、葉と茎を少量とって軽く炒めるだけで、夕食のおかずの一品にできるのです。
サツマイモの葉と茎を積極利用することで得られる栄養素のなかで、代表的なものと言えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、鉄分、食物繊維などがあります。
抗酸化作用のあるこれらの栄養素は、老化防止や生活習慣病の予防に効果があるとされています。
これがサツマイモの葉と茎の、すごいところです。こんな有用な野菜を、利用しない手はありませんね。
ご家庭ばかりでなく、もしも生鮮野菜を扱う業者さんが本記事をご覧になったら、日本でも「サツマイモの葉と茎」の商品化を、ご検討してみてはいかがでしょう。
台湾と同じように、日本のスーパーでも常時売っている野菜になってくれたら、とても嬉しいことではありませんか。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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