2021年3月8日、全国人民代表大会(国会に相当)の会議に出席したテンセント創業者兼CEOの馬化騰氏(Lintao Zhang/Getty Images)

テンセント、社内に275の共産党支部 ネット検閲当局と「ほぼ一体化」

中国IT大手の騰訊控股(テンセント)は6月下旬、世界企業時価総額ランキングで7位となった。しかし、同社には275の共産党支部があると明らかになった。また、情報筋によれば、同社の本部には中国ネット規制当局の職員が常駐し、ネット検閲・監視を行っている。

中国紙・南方都市報6月24日付によると、6万人余りの社員を抱えるテンセントには14の共産党総支部があり、その下にさらに275の党支部がある。社内の共産党員の数は1万1000人。同社の党委員会の委員11人、規律委員会の委員3人は会社の上層幹部である。社内には党務だけを担当する従業員が10人いる。社内業務に従事しながら、党務も行う社員は724人いる。

広東省深セン市に本社を置くテンセントは1998年11月設立。2003年に、社内に党支部を設置し、11年に党委員会を設けた。同社は7月15日を「党員の日」と定めている。毎年の7月15日、本社と各地の支社では共産党を称賛するイベントが行われる。

昨年8月に大紀元が入手した内部資料は、テンセントには7723人の党員がいると示した。テンセントは部署ごとに党支部を設けている。例えば、ソーシャルメディア運営党支部、クラウド製品党支部、テンセント・ミュージック党支部などがある。また、杭州党支部、武漢党支部など、中国国内各地のテンセントの支社は、その地名から党支部を命名している。

中国国内のジャーナリストは匿名で、大紀元の取材に応じた。同氏は「テンセントと中国ネット検閲当局がほぼ融合している。テンセントが事業を展開している分野に必ず中国規制当局の目がある」と話した。

同ジャーナリストが得た情報では、深セン市にあるテンセントの本社ビル「騰訊大厦」のワンフロアは、共産党中央サイバーセキュリティ情報化委員会弁公室(網信弁)の事務所となっている。網信弁の職員のほか、中国情報機関の国家安全省や公安省国内安全保衛局の職員も常駐している。

「ただ、その事務所が使う経費はテンセントが出しているか、または当局が出しているかはわかっていない」

同氏は、テンセントと中国当局のネット検閲部門が一体化したことに強い懸念を示した。「国内だけでなく、テンセントは今、多くの国にも事業を展開している。だから、中国当局のネット検閲・監視システムもテンセントとともにその国に入っていくのだ」

このほど、中国当局は国内のIT企業に対する締めつけを強化している。

「当局が締めつけを行った原因は2つあると考えられる。1つは、各企業への支配を強化する狙いだ。もう1つはデータ管理を強化することにある。アリババ集団傘下のアントグループや配車アプリの滴滴出行に対する取り締まりは、中国国内のデータが米国に流出しないための措置だった」と同氏は語った。

中国当局は今年4月、独占禁止法の違反があるとして、テンセントに対して罰金50万元(約850万円)を科した。しかし、当局は同じ理由で、電子商取引最大手のアリババ集団に罰金182億元(約3094億円)を科した。

この両者の大差について、「中国共産党内の派閥間の権力闘争に関わるほかに、テンセントの創業者である馬化騰氏が控えめで、共産党当局におとなしく従っていることも原因の1つと考えられる。馬化騰氏は、アリババ集団創業者の馬雲氏のように、公の場で当局を批判したことがない」と同情報筋は述べた。

(記者・駱亜、翻訳編集・張哲)

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