中国北部の河北省にある鉄鋼工場の煙突や火力発電所から煙が立ち上る=2015年11月19日 イメージ写真(Kevin Frayer/Getty Images)

「中国は最大の汚染者」温室効果ガスの半分強、25都市が排出 ほぼ中国

世界の温室効果ガス(GHG)排出量の半分以上が、中国を中心とした約25の都市から排出されていると、中国の環境研究者が発表した報告書で明らかになった。米政府系放送ラジオ・フリー・アジア(RFA)が12日報じた。

7月12日に学術誌「フロンティアーズ(Frontiers)」に掲載されたこの研究では、世界53カ国の167都市の排出量を収集し、地球温暖化の原因とされる温室効果ガス排出量の約52%が、25の都市から排出されていると判明した。モスクワ、イスタンブール、バンコク、東京の4都市を除けば、その他の都市は上海、蘇州、邯鄲などいずれも中国の都市だ。

この調査によると、一人当たりの温室効果ガス排出量は、先進国の都市が、発展途上国の主要都市より上回っている。また、中国を中心としたアジア都市の排出量が、全体の大部分を占めている。銀川、ウルムチ、大連などの中国の都市は、急速な都市化、工業化、石炭エネルギーへの高い依存度により、一人当たりの排出量が先進国に近い水準に達しているという。

167都市の(a)GHG総排出量と(b)一人当たりのGHG排出量の推移(Frontiers)

報告書では、「各都市は、世界の気候変動緩和目標に沿い、より野心的で追跡可能な気候目標と、より効果的な対策を打ち出す必要がある」と提言している。

報告書の執筆者の一人、中山大学環境科学・工学学部の陳紹晴・副教授はロイター通信に対し、「この研究は、CO2排出量の削減における大都市の重要な役割を浮き彫りにするものである」と述べた。

中国の排出量、先進国の合計を上回る

米調査会社ロジウムグループ(Rhodium Group)が5月6日に発表した報告書によると、2019年の中国の温室効果ガス排出量は、OECD諸国(欧州諸国、米国、日本などを含む34カ国の先進諸国)の合計を上回ったという。

それによると、2019年の世界の温室効果ガス排出量のうち、中国の占める割合は27%で、第2位の米国の11%を大きく上回る。次いで、インドが6.6%、EUが6.4%となっている。

中国の習近平総書記は今年4月、ジョー・バイデン米大統領が主催した気候変動サミットで、2025年までに石炭消費量の増加を厳しく制限し、2030年のピークから徐々に減らし、2060年までに温室効果ガスの排出量をほぼゼロにすることを約束した。

米共和党のリック・スコット上院議員(フロリダ州)は5月7日、「共産中国は世界最悪の汚染者であり、そのやり方を変えるとは思えない。気候変動に対処するには真の解決策が必要だが、共産中国のような巨大汚染者との効力のない協定が問題解決に役立つとは思えない」とツイートした。

(翻訳編集・王君宜)

関連記事
湖南省株洲市の湘江で、ウイルスサンプル収集用試験管が大量に発見され、住民たちは感染リスクに怯えています。当局は「未使用で損傷はなく、ウイルスは検出されなかった」と発表しましたが、専門家や市民の間で疑問の声が広がっています。試験管の正体や流出の経緯について調査が進む中、不安は収まりません。病院も研究所を信用できないのは間違いない。中国ではコロナが収束していないというのは、こういうことなのか?
米司法省は最近、IR事業をめぐり日本の政府関係者に賄賂を渡すよう指示して、中国企業のCEOを海外腐敗行為防止法違反の容疑で起訴した。
ニセモノ摘発も命がけ、道徳低下した中国社会。中国福建省の展示会で、偽商品の摘発を目的とするインフルエンサーが暴行を受ける事件が発生しました。「福建鉄鉄」のカメラマンが問題商品を通報したことがきっかけで、出品者らから集団暴行を受けたとされています。この事件は、中国SNSやメディアで大きな注目を集めており、現在、市場管理局と公安当局が調査を進めています。偽商品撲滅の活動が招いた事件の経緯とその背景に迫ります。
19日、中国江蘇省連雲港市にある国有企業「中国化学工程第十四建设有限公司」の正門前で、ある女性が滞納された給料の支払いを求めて会社管理者の足に抱きつき泣き叫ぶ姿が撮影されました。この動画はSNSを通じて拡散され、多くの人々に衝撃を与えています。女性の訴えに耳を貸さない企業の対応と、中国社会で頻発する同様の問題に、ネット上では悲しみと怒りの声が相次いでいます。「惨め過ぎる」労働者の姿。官製メディアが宣伝する「盛世(繁栄)」中国のリアル。経営者が人間なのか? 人間であれば、会社をつぶす決意をして、会社財産を売って、給料を支払うはずだが。
湖北省武漢市で、配達食注文に対するクレームが原因で、配達員がナイフを持って客の家に押し入ろうとする衝撃的な事件が発生した。監視カメラには、ドアを内側から押さえる家主と、外でナイフを振り上げながら脅す配達員の姿が記録されている。この事件をめぐり、SNSでは中国社会のストレスや労働環境への懸念が噴出。「極限状態にある人々の行動は予測不能」といった声も広がっている。 至るところに「火薬庫」の中国、言動を慎まないと、いつどこで殺されるかわからない。