「新しい服は、洗ってから着る」あなたの健康を守るために
購入してきた新しい服を開封したら、そのまますぐに着ますか。着る前に一度洗濯しますか。専門家は、衣服に含まれているかもしれない有害物質にもっと注意して、できるだけ着る前に洗濯することを薦めています。
(訳者注:本記事は台湾大紀元の記事をもとに作成しています。「衣料品に有害物質が含まれている可能性がある」という前提は、主に台湾での事情をふまえてのこととご理解ください)
衣服の中に隠れた「4つの地雷」
中原大学生物科学技術系助教授で毒物の専門家である招名威氏は、こんな自身の体験を語ります。「ある年の夏、私は開封したばかりの新しい服で外出しました。その日は蒸し暑く、服はすぐに汗でびしょ濡れになったのです。すると、皮膚が赤く腫れ、掻けば掻くほどかゆくなって、やがて紅斑が出てきました」。
以来、招名威氏は「新しい服を購入したら、必ず一度洗ってから着る」を習慣づけていると言います。その理由は、新品の服の中に隠れた「地雷」とも言える有害物質、および新品についている汚れと関係があるから、だそうです。
1、ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドは、新築の家や新しい家具から室内の空気中に広がって居住者の健康を害する、いわゆる「シックハウス症候群」の原因にもなる化学物質です。
このホルムアルデヒドは、新しい服にも存在します。招名威氏によると、製造過程にある服は、染色時にホルムアルデヒドで色を固定し、しわになることを防止します。
化学反応を起こしたホルムアルデヒドは繊維と結合して、服の素材に固定されます。一方、服の素材に固定されていないものを遊離ホルムアルデヒドといいますが、これらの遊離ホルムアルデヒドは水に溶解するため、新しい服を洗わずに着ると、汗に溶け出し、皮膚アレルギー、かゆみ、皮膚炎などの症状を引き起こすのです。
2、蛍光剤
衣服の素材に使われる蛍光剤は、主として生地の色を明るくし、鮮やかに見せるためのものです。スポーツウェアには蛍光剤が使われることが多いですが、法令に従った通常の使用であれば、安全性が損なわれることはほとんどありません。
ただ、法律で規制されていない蛍光剤を使用している一部の良くないメーカーの製品であれば、安全性に問題が出てきます。蛍光剤は種類が多く、なかには衣料用ではない工業用のものもあり、それらが衣服に加えられた場合、皮膚に不快感を覚えやすくなります。
3、染料
色の濃い衣料は、染料が水に溶けて淡色の衣類が染色される可能性があるため、一緒に洗濯することは推奨されません。通常は何回かの洗濯で落ち着くのですが、洗濯するたびに水が変色してしまうほど染料が流出するならば、この衣料の染料は良質とは言えません。
皮膚が汗をかくと染料が落ちやすくなり、皮膚を通して体内に入っていきます。ご家庭に洗濯するたびに色落ちする服があれば、着用しないことをお勧めします。
4、製造過程と物流時で加わる汚染
裁縫工場で製造された衣服は倉庫での保管および物流過程において、ほこり、病原菌およびその他の汚れが入るのは避けられません。一方、人間の皮膚、口、鼻は、有害物質が体内にはいる入口でもあります。
招名威氏によると、「衣服は皮膚との接触面積が大きいため、もし衣服中の有害物質の濃度が高く、人体に入る量が多ければ、大きな健康被害をもたらす」と言います。
ホルムアルデヒド、蛍光剤、染色剤の多くは肝臓で代謝されますが、それは肝臓の代謝負担を増加させることを意味します。また、幼児が服を噛んだとき、染料などの化学物質が口から入って消化器系に影響を与え、胃腸の調子が悪くなったり、嘔吐や下痢をしたりすることもあります。
肌トラブルにならないための注意点
「ただ、やはり肌トラブルが一番多いですね」と招名威氏。
ホルムアルデヒドを例にすると、ホルムアルデヒドは発がん性物質とも言われていますが、建築材料に含まれているホルムアルデヒドに比べれば、衣服を着ることによる同物質の発がん性は非常に低いと言えます。
では、一番懸念される、衣服による肌トラブルにならないために、どんな点に注意したらいいでしょうか。招名威氏は、以下のポイントを挙げます。
1、 色鮮やかな衣服の購入は、少なくする
色鮮やかな衣服の購入は、あまり多くしないでください。なるべく木綿や麻などの天然素材で、淡色や無地の服を常用します。プリント柄などは少ないほうがいいです。出所不明で安すぎる衣服は、生地の品質に疑問があるため、避けたほうが無難です。購入する前に、鼻を近づけて刺激臭があるかどうか、よく確かめましょう。
2、新しい服は洗濯してから着る
服を購入する際の、短時間の試着は、もちろん問題ありません。しかし、ベッドシーツや下着も含めて、皮膚に接触する生地を使っている商品は、使用する前に水で洗って有害物質を除いておくことが望ましいです。
厚手のコートなど、洗濯が不便なものであれば、風通しの良いところで数日陰干しするだけでもホルムアルデヒドを除去する作用があります。
3、洗濯は十分に
洗濯を繰り返すほど、衣類のホルムアルデヒドや蛍光剤が少なくなります。そのため、着た服は十分に洗濯しなければなりません。着用する一回毎に洗濯した方が良いでしょう。何度も着てから、汚れがたまった状態で洗濯機に入れることはしないでください。
なお、スポーツウェアや発熱性のあるウェアは、就寝時に着るパジャマには代用できません。こうしたウェアは、レーヨンやポリエステルなどの化学繊維ですので、長時間肌に接触すると健康上の心配が多少あります。
肌に直接着るパジャマは、やはり木綿のものをお薦めします。
(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)