中国のシノファーム社製ワクチンの投与を示す医療従事者(KHALIL MAZRAAWI/AFP via Getty Images)

イタリア首相、中国ワクチンの効果に疑問 チリの感染拡大で

イタリアのマリオ・ドラギ(Mario Draghi)首相は、南米チリにおける中国製ワクチンの効果の低さを取り上げて、「中国製ワクチンの効果が不十分」であることが原因だと指摘した。22日に、開催された欧州連合(EU)首脳会議の終了後、記者団に対して語った。

チリでは、国民の半数以上がシノバック(科興控股生物技術)社製のワクチンを接種しているが、有効率は1回目で16%、2回目で67%と報告されている。チリは中共ウイルスの被害が大きい国のトップ10に入る国だ。

中国の専門家も、その効果の低さを認めている。6月24日、中国疾病予防管理センターの研究者で元副所長の馮子健氏は、中国中央テレビ(CCTV)のインタビューで、中国製ワクチンは十分な抗体が作られず、デルタ型(旧インド型)のウイルスに対する効果が低いと述べた。

最近、中国広東省ではウイルスが再び流行した。感染者のうち、デルタ型が85%を占めた。同省では数千万人がワクチンを接種している。

世界の多くの国々が中国製のワクチンに疑問を投げかけているいっぽう、世界保健機関(WHO)は、シノファーム(中国国家医薬集団)社とシノバック社のワクチンを緊急承認した。

6月17日、インドネシアでは、350人以上の医師や医療従事者が、シノバックのワクチンを接種したにもかかわらず、ウイルスに感染した。そのうちの数十人が入院した。インドネシア当局は特に感染力の強い変異株に対するワクチンの有効性に大きな疑問を投げかけている。

アラブ首長国連邦は、2020年12月にシノファーム社のワクチンを国民に提供した。しかし、一部の接種者に十分な抗体ができていないことがわかり、3月から3回目の接種を行っている。

3月、中国疾病予防管理センターの高福所長は、中国製ワクチンの効果を高めるためには、3回目の接種が必要になるかもしれないと述べた。

4月、ワクチンと健康に関する中国全国会議において、高氏は、不活化ウイルスを使用した中国製ワクチンの感染防止力は低く、欧米のワクチンで使用されているmRNAなど、異なる技術で作られたワクチンを混合することで効果を高めることができるかもしれないと述べた。

同月、アラブ首長国連邦は中国製ワクチンを接種した人への補強薬として、ファイザーもしくはバイオンテック社製のワクチンの提供を開始した。

6月初旬までに、バーレーンの人口の47%がワクチンを接種したが、そのうち60%がシノファーム社のワクチンだった。現在、バーレーンで感染者数が過去最高となっており、5月末以降、当局はすでにシノファーム製を完全接種した人に対し、補強薬としてファイザー社製のワクチンを提供している。

6月上旬、セルビアで行われた臨床研究では、65歳以上の30%の人がシノファームのワクチンを接種しても抗体ができなかった。セルビアは、欧州医薬品庁に承認されていない中国製ワクチンを使用していた。

中国製ワクチンを使用している中南米、アフリカ、アジアにおける複数の国々、そしてハンガリーとセルビアでは、現在もウイルス感染者数が急増している。

科学情報データをグラフで表示するウェブサイト「Our World in Data」によると、セイシェル、チリ、バーレーン、モンゴルなど人口の過半数が中国製ワクチンを接種している国では、ウイルスの被害が大きい国のトップ10に入っている。

(ALEX WU/大紀元日本語ウェブ)

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