【医学古今】
経絡敏感人と呼ばれる感知能力の高い人
現代医学は過剰に検査機器に依存し、人間自身の持つ感知能力を無視する傾向があります。一方、伝統医学は最大限に人間の感知能力を生かして、生理や病理の現象を認識してきました。感知能力は各自異なり、ある面では常識を超えた能力を持つ人もいます。中でも経絡の現象に対して優れた感知能力を持つ人は、「経絡敏感人」と呼ばれています。
経絡について、漢方医学は生命構造の一部分だと認識していますが、現代科学では未だにその実体を解明できません。経絡に敏感な人は経絡に沿って流れる気の動きやツボの位置を感じることができます。私が治療していた患者さんの中に、このような経絡に敏感な人が数人いました。
ある肩関節痛の患者さんは、膝の外下方にある陽陵泉というツボに鍼をすると、体の側面にある少陽胆経に沿って肩まで気の流れを感じ、気が肩まで届いたら、肩関節の痛みはすぐ無くなくなりました。また、ある歯痛の患者さんを治療した時、手背部の合谷というツボに鍼をすると、気の流れが上肢の前外側に沿って痛い歯まで伝わった途端、歯の痛みが消えました。この患者さんはツボの位置を正確に感じることが出来て、僅か5ミリずれたところに鍼をしても、同じ感覚がなく、歯の痛みも改善できませんでした。このような患者さんを治療しながら、いろいろ教えてもらうと非常に勉強になります。
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