≪医山夜話≫ (17)
ナンシーのカルテ④
ナンシーが私のクリニックを最後に訪れてから、だいぶ日が過ぎました。私の推測では、彼女の化学療法は第一段階と第二段階を過ぎたはずです。知らせがないのはよい知らせだと自分に言い聞かせ、ナンシーが回復していることを願いました。
ナンシーがクリニックを再び訪れたのは、私が彼女のことを考えていた矢先でした。彼女は車椅子に乗せられて、体は三分の一くらいに萎んでいました。以前の彼女は体が大きく自信満々な感じだったのですが、今はとてもその頃の面影はありません。最も驚いたのは、彼女の目・鼻・耳などから血が滲みでていることでした。血の滲んだ汗が彼女の肌から流れていました。このような症状を私は見たことがありません。私は、ナンシーの夫に、彼女をすぐにでも救急病院へ連れて行くよう提案しましたが、意外にもナンシーは強い口調で反論しました。「いいえ! もうあの場所へは、二度と行かないわ。もう一度行けば、私はもうその部屋から出ることができなくなる!」
ナンシーの目からは血の滲む涙がこぼれました。彼女は弱々しくなりながらも、これまでの経緯を話してくれました。
関連記事
丙午年は冷えと熱が同時に現れやすく、体の流れが滞りやすいと『黄帝内経』は説きます。冷やしすぎや補いすぎに注意し、流れを整える養生の考え方を解説します。
仕事や調べ物に欠かせないAI。けれど毎日使う人ほど抑うつ傾向が高いという調査結果が。特に「個人的な相談」での利用が影響か。AIとの上手な距離感を考えるための最新研究を分かりやすく解説します。
猫背や前かがみ姿勢は呼吸や循環に影響し、疲労や集中力低下につながる可能性があります。正しい座り方と簡単な運動で、午後のぼんやりを防ぐヒントを解説します。
年齢を重ねるほど魅力が増す人には理由がある。体を動かし、友と語り、未来を描く――。ジムで出会った70代、80代から学んだ「優雅に年齢を重ねる8つの習慣」を紹介。これからの人生を前向きに生きるヒントが詰まっています。
SNSの利用を1日30分に減らすと、1週間で抑うつや不安、不眠が改善する可能性が研究で示唆。若者のメンタルヘルスとスクリーン習慣の関係を解説。