米国務省がこのほど法輪功弾圧専門機関610弁公室の関係者に制裁を科した(ALASTAIR PIKE/AFP/Getty Images)

米、法輪功弾圧機関「610」の元幹部を制裁 関係者「中国当局への警告」

5月13日の世界法輪大法デーの前日、米国のブリンケン国務長官は、中国伝統気功グループ、法輪功学習者の迫害に関与したとして、四川省成都市の当局者1人とその親族に制裁を科すと発表した。関係者は、今回の制裁は中国当局と法輪功弾圧専門機関に対する警告だと指摘した。

制裁を受けたのは成都市邪教問題の防止と対応指導チーム弁公室(「610」弁公室とも呼ばれる)の元主任、余輝(Yu Hui)氏だ。これは、1999年に中国当局が法輪功弾圧政策を開始以来、米政府による初めての制裁措置である。

中国当局は、中央政府から省・市・区、さらに町まで、各レベルの「610」弁公室を設置した。同機関は、国内で全面的に弾圧政策を実施するため、中国の警察、検察、裁判所、軍、武装警察、外交、教育、プロパガンダ宣伝など各政府機関に指令をだす権限が与えられている。

2001年1月23日、「610」弁公室は北京市天安門広場で、「法輪功学習者」による焼身自殺をでっち上げた。当局はこの事件を利用して世論を煽り、中国国民と世界各国の人々の法輪功に対するヘイトを増幅させた。

18年に海外亡命した中国の元人権派弁護士、李明氏は、「『610』弁公室の幹部は、警察・検察・裁判所、司法局の担当者を同時に呼び出し、逮捕した法輪功学習者に対する今後の法廷審議、判決について会議を行う。ほとんどの学習者は、濡れ衣を着せられ、不当に有罪判決を受けた」と述べた。

米国務省やシンクタンクの専門家は長い間、中国当局が法外機関である「610」弁公室を使って法輪功学習者を迫害していると批判した。米下院は10年3月16日に採択された第605号決議案において、「610」弁公室は不法機関であるとの認識を示し、中国当局に対して同弁公室の撤廃と拘束されている法輪功学習者の釈放を求めた。

法輪大法情報センター(FDIC)担当者のレヴィ・ブロウデ(Levi Browde)氏は、今回米政府の制裁措置は「意義が大きい」とした。

「余輝氏は、悪名高い『610』弁公室の元幹部であるため、余氏に対する制裁は、『610』弁公室とその『ゲシュタポ』組織全体への警告だ。長い間、中国当局は責任逃れのために、各国政府に対して人権問題について水面下で交渉するよう要求した。今後、(人権を侵害した)中国当局者は必ず調査を受けるだろう」

米国務省で信教の自由を担当したサム・ブラウンバック(Sam Brownback)前特別大使は「米政府が中国共産党に送った強いメッセージだ。米政府は、信仰の自由を侵害した中国の当局者に対して必ず責任を追及する」と示した。

国際NGO(非政府組織)、法輪功迫害追跡国際組織(WOIPFG)の汪志遠・代表は、制裁措置は「中国共産党員と法輪功学習者の迫害に関わったすべての者に対して警鐘を鳴らした。関与者は法によって裁かれる」と歓迎した。

22年間、中国国内の法輪功学習者は、当局から嫌がらせ、拘束、不当判決、拷問、洗脳など様々な迫害を受けてきた。各地の「610」弁公室は弾圧政策を実行し、迫害を主導している。

法輪功情報サイト「明慧網」によると、現在、迫害で死亡した人数は4600人が確認されている。中国当局が情報を隠ぺいしているため、実際の死亡者はさらにいるとみられる。

(記者・李辰、翻訳編集・張哲)

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