中国伝統医学は体の調整に重点を置きます。高血糖を改善して、糖尿病を防ぎます。(Shutterstock)

高血糖でお困りの方へ 中国伝統の「お茶」で体質から改善

糖尿病は現代の「文明病」とも言われます。ただし、早期のうちに検査によって高血糖であることが発見されれば、日常生活のなかの過ごし方と食事療法によって改善することも可能です。血糖値は自分でコントロールすることが大切。ここでは、中国伝統医学にもとづいて糖尿病体質を改善する、3種類のお茶(飲み物)をご紹介します。

よくある高血糖の要因は「不適切な食事」「夜ふかし」「肥満」

人が食事をとると血糖値が上昇します。それによって体内ではインスリンが分泌され、体が必要とするエネルギー源である糖が、血液から細胞に順調に取り入れられます。ところが高血糖になると、体内の細胞がインスリンに対する抵抗性をもつようになり、その「取り入れが、うまくいかなくなってしまう」のです。そのために、血糖値を正常な範囲内におさめておくことが肝要です。

台北市の漢方医院・翰鳴堂の頼睿昕院長は、このようなインスリン抵抗性の要因として、飲食の「質」と「量」およびその「頻度」が関係していると指摘します。

質とは、今では現代人の飲食の習慣となっている「簡単で早いが、不健康な食品」を指しており、これには各種の加工食品も含むこと。量とは、間食が多すぎることも含めた、暴飲暴食のこと。

さらに頻度とは「朝食、昼食、午後の間食、夕食、夜食」と、その間に絶え間なく続く食事によって、血糖値が常に高い状態にあることを言います。そこで、さらにGI値(食後血糖値)が高くなるような食事を摂れば、血糖値が一気に跳ね上がるのは当然です。

すると急激にインスリンが分泌されて、とりあえず血糖値は下がるのですが、その後で、大変な飢餓感を覚えます。体脂肪が多すぎることもインスリン抵抗性を招く要因になりますので、肥満の人に高血糖や糖尿病が多いのはそのためです。

食べる順序は「野菜」「肉」「ごはん」

食事の際に、口にする順序も意識してみましょう。特に血糖値の高い人は、始めに口にするのが食物繊維である「野菜」などのおかず、次にタンパク質の「肉類」、最後に主食でありデンプン質の「ご飯」という順番が良い、と頼睿昕氏は言います。

野菜には炭水化物がほとんどなく、その食物繊維によって糖分をキャッチすることによって、後から入ってくるデンプンの吸収を減少させる働きがあります。タンパク質には、緩衝作用があって血糖値の急上昇を抑えるうえ、野菜と肉である程度の満足感を得られるため、最後のデンプン質つまり主食の量を抑えることができます。

主食は、少なくすることはできますが、全く食べないわけにはいきません。頼睿昕氏は「ご飯は、糖尿病患者も食べなければいけません」として、漢方医療からしても、米飯は栄養が豊富であり、脾臓や胃にも有益であるといいます。

さらに、運動する習慣をもつことも重要です。それは単なるダイエット目的だけではなく、運動することによって、細胞のもつインスリンに対する敏感さを向上させることができるからです。インスリン抵抗性を減少させることができれば、血糖値の抑制にもつながります。同時に、夜更かしや徹夜を避けて、良質な睡眠をとるよう心がけることも、インスリン抵抗性の減少には欠かせません。

血糖値を急激に上げない、ポイントは4つ

その食物が、GI値(食後血糖値)を急激に上げるか、ゆるやかに上げるかを判断するポイントは次の4つです。

第一に、含まれる食物繊維の量です。例えば、精白した小麦粉で作ったパンよりも、全粒粉のパンのほうが、食物繊維が多いため、血糖の急激な上昇を抑える効果が高いことになります。

第二に、調理する方法によって差が生じることです。例えば、白飯とおかゆでは、どちらも白米を炊いて作りますが、おかゆのほうが糊化の程度が高いため、より吸収しやすくなっており、GI値も高いわけです。スパゲッティは、比較的硬く、歯ごたえがあって、GI値の低い食品ですが、ゆで加減によって変わりますので、長くゆでればGI値も高くなると言えます。

第三に、製造過程における加工の程度にもよります。例えば、加工食品である麺類よりも、米の原型をとどめた米飯のほうが優れていることになります。

第四に、例えばバナナのように、果物でもその熟した程度によって糖分の含有量は変わります。果物を多く摂り過ぎれば、果物が糖分の来源となってしまうでしょう。高血糖の人には、果物ではグァバやリンゴ、緑色のキウイが向いていますが、果物を食べる量は半分にするか、いっそのこと果物は食べないと決めたほうがいいかもしれません。

飲む「お茶」で体を整え、高血糖を克服しましょう

糖尿病前期であれば、漢方医学の改善法によって、糖尿病の更なる進行を防ぐことができます。その一つとして、ここでは漢方にもとづく飲み物を3種類ご紹介します。「茶ではない茶」つまり茶外茶(ちゃがいちゃ)ですが、一日一回でも、普段のお茶のように飲んでいただければ良いものです。

いずれも、材料を1500ccのお湯に入れ、鍋で10分間煮出した後、濾して作ります。頼睿昕氏は、中国伝統医療の理論にしたがい、それぞれの目的に合った「茶」を服用することで体質が改善され、インスリン抵抗性の減少にも役立つといいます。

1、沙参麦冬湯(さじんばくとうとう)

材料は、トウシャジン(沙参)25g、バクモントウ(麦門冬)25g、アマドコロ(玉竹)25g。「陰虚燥熱」体質の高血糖患者向け。適応する症例としては、口中が渇く、便秘、尿量が少ない、寝汗をかく、動悸(どうき)、月経不順、胃が張る、乾いた咳がでる等。

2、黄耆生脈飲(おうぎせいみゃくいん)

材料は、バクモントウ(麦門冬)25g、オウギ(黄耆)15g、アメリカニンジン(西洋參)15g、ゴミシ(五味子)10g。「気陰両虚」体質の高血糖患者向け。適応する症例としては、体が重い、空腹感や疲労感を覚えやすい等。

3、陳皮仏手疏肝飲(ちんぴぶっしゅそかんいん)

材料は、チンピ(陳皮)15g、ブッシュ(仏手)15g、ジャスミン花(茉莉花)15g。「肝鬱脾虚」体質の高血糖患者向け。適応する症例としては、情緒の起伏が激しい、胃部不快、食事量を減らしても血糖値が下がらない等。

(文・文/蘇冠米 翻訳編集・鳥飼聡)

 

 

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