豪新書、「ファーウェイ設備利用のリスクを回避する手立てがない」8カ月も実験
豪州で5月24日に発売される新書『レッドゾーン:中国の挑戦と豪州の未来(Red Zone: China’s Challenge and Australia’s Future)』は、同国政府が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を5Gネットワークから排除する前、8カ月かけてファーウェイの機器を安全に使用する方法を模索していたと明かした。しかし、中国共産党と深い繋がりを持つ同社の設備を利用した場合、リスクは回避できないとの結論に至ったという。
同国は2018年、ファーウェイに次世代通信規格「5G」市場への参入を禁止した。同社参入を禁じた最初の国となった。
同書によると、豪通信電子局(ASD)は300以上のセキュリティ対策を講じても、中国共産党の命令を受けたファーウェイが5Gネットワークを停止するリスクを排除することができなかった。
豪上級諜報機関の情報筋が同書の著者ピーター・ハーチャー氏に対して、ファーウェイの機器を使用する主なリスクはスパイ行為ではなく、中国共産党の指示を受けたファーウェイが豪州の5Gネットワークを停止し、国全体を麻痺させる可能性があると指摘した。この問題は3Gおよび4Gのネットワークでもすでに見られたという。
同情報筋はまた、5Gネットワークが全面的に使用されれば、保護を必要とする最重要インフラになるとした。
「5Gネットワークが遮断されれば、下水道のポンプが停止し、断水になる」「公共交通機関も麻痺し、自動運転の電気自動車も動かなくなるため、社会的にも、経済的にも影響を及ぼす」と警告した。
ファーウェイは、中国共産党の命令を受けていないと常に主張してきた。
しかし、ファーウェイ禁止令の策定を主導した当時の首相、マルコム・ ターンブル(Malcolm Turnbull)氏はハーチャー氏に対し、「ファーウェイの『共産党を拒否できる』という主張は馬鹿げている、彼らには選択肢がない、(中国共産党に)従わなければならない」「中国共産党がファーウェイに、オーストラリアの利益を損なう行動を求めれば、ファーウェイはそうするしかない」と述べた。
2017年に施行された中国の「国家情報法」では「国内外を問わずいかなる組織および個人も、国家の情報活動に協力する義務を有する」としている。
ターンブル氏は、ファーウェイ禁令が導入される前、自分はASDに「リスクを軽減し、ファーウェイの機器を安全に使用する方法を見つける」よう指示したと明かした。
当時、豪ASDはトップのハッカーチームを結成して、ファーウェイの機器を利用してサイバー攻撃を仕掛け、セキュリティに問題が起きた場合の対策を探る実験を行った。しかし、300以上のセキュリティ対策を施しても、5Gネットワークが停止されるリスクを完全に排除できないことがわかった。
「オーストラリアができるだけ多くのサプライヤーを獲得することを望むが、国家の安全保障を犠牲にすることはできない」とターンブル氏は述べた。
(大紀元日本ウェブ編集部)