(xomalcerto/Creative Commons)
≪医山夜話≫ (62)

タバコにまつわる恐ろしい事例

タバコを止めようと思いたち、私の診療所を訪れる患者の85パーセント以上が治療によって禁煙に成功しています。これは完全に、私の優れた医療技術と彼らの固い決意の賜物でしょうか?いいえ、それだけではありません。タバコを止めるという試練に耐えられず、諦めようとする患者達に、私はいつもある事例を伝える事にしています。ほとんどの人はそれを聞き終わると、もうタバコを吸いたいと思わなくなります。

 私の学生時代、解剖学の授業がありましたが、その時、学生たちは人体の骨格、筋肉、神経、内臓などを観察しました。肺癌で亡くなったジョーの体は、私たちの解剖学で使う遺体の一つでした。彼の命を奪った、あの大きくて黒い肺を見た時、私は思わず愕然としました。

 その黒い肺は、ほぼ胸腔全体を占めており、肩の隙間まで膨張して硬くなっていました。人体がこのように大きな黒い石の様なものに占領されるとは想像もつきません。私は思わずジョーの顔を覗いてしまいました。彼は50~60歳くらいの中年男性で、大柄な体格をしていました。

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