【医学古今】

冬病夏治

個人の体質状況によって特定の季節に繰り返し発症する病気があります。例えば、冬になると、喘息や咳、鼻炎、かぜ、胸痛、皮膚の発疹、腹痛、下痢、関節や筋肉の痛み、頭痛、霜焼け、冷え症などを毎年発症する人がいます。このような場合、冬を待たず、夏の間にその体質を改善し、冬になっても発症しないように治療することを「冬病夏治」(とうびょうかち)と言います。

 冬は寒冷の季節で陰気が強い時期ですから、身体が陽気不足で寒の邪気が潜んでいる場合、冬になると外からの寒さと体内の冷えが合わさって発症します。

 寒の邪気が潜んでいる場所によって症状は違います。肺臓に潜んでいる場合は喘息や慢性咳嗽(がいそう)、鼻炎が発症し、腹部に潜んでいる場合は腹痛や下痢、関節や筋肉に潜んでいる場合は関節痛や筋肉痛などにかかりやすくなります。

 夏は自然界にある陽気が上昇し、強くなって発散する時期です。この時期には体の陽気も成長し、体内に潜んでいる寒の邪気を追い出しやすくなります。

 しかし、身体の陽気不足によって寒の邪気を追い出すことができない場合、「冬病夏治」の方法を用い、身体の陽気を補助して、寒の邪気を追い出すことが出来れば、冬に繰り返し発症する病気を完治できます。

 これには漢方薬を使う薬物療法がありますが、おもよく利用されます。寒の邪気が潜んでいる場所に合わせて、それぞれのツボに強めのお灸を施せば、効果を得やすいのです。

 寒の邪気が肺臓にある場合に肺兪(はいゆ)、膏肓(こうこう)を、腹部にある場合に陰交(いんこう)、関元(かんげん)を、頭にある場合には百会(ひゃくえ)、関節にある場合に関節周囲のツボを選んでお灸を施します。お灸の熱感がしっかり深部まで届けば、より高い効果があります。冷え症や霜焼けの人には、腹部のお灸を中心的に行えばいいでしょう。

(漢方医師・甄 立学)

関連記事
50代は体に変化が訪れる時期。しかし、適切なエクササイズで健康を維持し、より良い生活を送ることができます。今すぐ実践したい5つのエクササイズを紹介します。
スタンディングデスクは、デスクワークの健康リスクを軽減するツールとして注目されています。しかし、立ち続けることにも限界があり、健康リスクが伴う場合も。位のバランスや代替デスクの活用法、健康的な働き方を実現する具体的な方法を詳しく解説します。リズミカルな一日のサイクルが健康によさそうですね。自分の一日が素敵になるように設計しましょう。
「祇園精舎」は仏教の聖地として知られ、須達長者の献身から始まったその歴史は深い意味を持ちます。仏教の教えと共に広がるその影響力を知ることで、心が豊かになります。
現代病の背景には、冷えや脂っこい食事、不規則な生活が影響しています。 中医学では、気血の流れを良くし、寒熱のバランスを整えることが重要とされ、特に「シナモン(肉桂)」のこの記事では、シナモンの効能や活用法を詳しく紹介します。
閉経期を迎えた女性にとって運動がもたらす驚くべき健康効果とは?筋力トレーニングで体調改善や骨密度向上を目指す方法を紹介します。