中国空母「遼寧」(STR/AFP via Getty Images)

海上で動かぬ空母「山東」が嘲笑の的に 中国報道官、「引きこもりのオタクではない」と火消し

南シナ海などで挑発行為を繰り返している中国軍の空母は今、国際社会の注目の的になっている。このほど、空母「山東」が母港から出発した直後に動かなくなった様子が衛星で捉えられ、ネットユーザーらは「漂流する張り子の虎」とその実力を揶揄した。こうした批判を受け、中国国防省の報道官は、中国の空母は「家に引きこもっているオタクではない。空母の長距離航行は常態化する」と火消しを図った。

軍事情報を発信するツイッターアカウント「新・二七部隊軍事雑談」は4月29日、「今日のリアルタイム衛星写真では、空母「山東」は(中国海南省)三亜市外海の東部に位置している。遠くまで航行していない。昨日の位置とほぼ変わっていない」と投稿し、衛星写真を付け加えた。

同アカウントの前日の投稿によると、「山東」は同日、三亜の海軍基地から出航し、南シナ海を通りバシー海峡に向かっていっている。

ネット上では、1日中海上でそのまま動かない空母の様子を皮肉る書き込みが集まった。

ある中国人ネットユーザーはツイッターで、「米軍は『また新しいおもちゃが現れた』と思っただろう」「各国の海軍がまた様子見に行くんじゃない?」「このように24時間(各国に)監視されていては、どうやって台湾を侵攻するのか」などと嘲笑した。

中国空母「遼寧」も4月12日、海南省三亜港から東290キロの外海で1日以上動かなかった。「エンジンが故障したかもしれない」などの憶測が飛び交っていた。このため、米海軍と台湾国軍、海上自衛隊は「遼寧」の様子を確かめるために、相次いで艦船を派遣した。

中国国防省の呉謙報道官は29日の定例記者会見で、突然「中国の空母は『引きこもりのオタク』ではない」と発言した。中国の空母は「張子の虎」であるとの世論を意識したものとみられる。

大紀元の軍事コラムニスト、沈舟氏は30日の寄稿で、米空母と比べて、中国空母の出動回数は少ないし、航行期間も短いと指摘した。

それによると、2020年4月、空母「遼寧」は母港の青島港を出航してフィリピン海に到着したあと、往路についた。往復期間は20日だった。今年4月、「遼寧」が再び出航し、沖縄本土と宮古島間や台湾周辺の海域、海南島付近に停泊し、現在、青島港に戻っているとみられる。今回の出動も1カ月。「出航は年に1回、航行期間は1カ月未満では、引きこもりと言っても過言ではない」と沈氏は述べた。

空母「山東」の出動期間は「遼寧」と比べて、さらに短い。19年12月、「山東」が中国の2隻目として海南省で就役した。しかし、その直後、「山東」は中国北部にある大連造船所に戻った。「山東」の製造自体が未完成だったのか、または大きな故障が起きたかと推測が広まっていた。20年9月「山東」は大連港を出て、11月には渤海と黄海で海上軍事演習に参加し、12月に海南省に帰港した。長距離の航行はなかった。

「1年間のうち、6カ月間任務を遂行し、残りの6カ月間は休養を取るという米軍の空母と比べて、中国空母の実力が大幅に後れていることがわかる」と沈氏は指摘した。

(翻訳編集・張哲)

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