【医学古今】

お屠蘇 疫病予防に効果

  昔から正月にお屠蘇を飲む習慣があります。疫病の予防に効果があると言われていましたが、今それを信じて飲む人はほとんどいないでしょう。これを理解するには、時代背景を考えなければなりません。

 お屠蘇は三国時代の名医である華佗が考案したと言われています。昔、中国の北部地域の寒さは今より厳しく、衣服、住宅、食事などの防寒もあまり良くなかったので、寒疫が流行った時期がありました。東漢時代、寒疫を治療する専門書『傷寒論』を書いた張仲景の200人の親族の中で、10年の間に100人近くが寒疫によって亡くなりました。その時代、寒疫の予防が如何に大事だったかが分かるでしょう。

 では、お屠蘇には本当に疫病を予防する効果があるのでしょうか。非常に良い効果があります。その理由は、漢方医学の古典『黄帝内経』に書かれています。「冬傷於寒、春必病温」という記載があり、つまり、冬の間に寒の邪気が体に侵入し、その時に発症しなくても、春になったら温病(春の疫病)になるということです。このような春に発症する温病を予防するために、冬の間に体に侵入した寒邪を追い払う必要があるのです。お屠蘇はまさに、この役割を果たしています。

▶ 続きを読む
関連記事
AIが真偽を曖昧にする現代、孔子の「巧言令色」の警鐘を重ね、日本の職人技に宿る「人の時間と心」に注目。機械には決して偽造できない、手仕事が生み出す究極のリアリティと真の信頼(信)の本質に迫る一編
裸足で大地に触れるだけで、心身に変化が起こる? グラウンディングに期待される14の健康効果と、研究の現状、実践方法を紹介します
親がスマホに気を取られていると、子どもはどう感じるのでしょうか。研究が示す親子の絆への影響と、つながりを深める習慣を紹介します。
高血圧は認知症の危険因子ですが、虚弱な高齢者では異なる傾向も。約6千人の研究が示した、血圧と認知症リスクの意外な関係を紹介します
泥から名器へと生まれ変わる宋代磁器の製作過程を通して、人生の試練の意味を紐解く随想文。過酷な窯の烈火をくぐり抜けてこそ本物の輝きと気骨が宿るように、逆境こそが人を美しく磨き上げるのだと静かに語りかけます