≪医山夜話≫(38)
彼の病気は本当に治ったのか
数年前、ある末期の肝臓ガン患者が私を訪ねてきました。彼は、大手の病院ではもう治療の施しようがないので、漢方で運試しするしかない、と言いました。彼は顔色が暗く、腹水が溜まっているようでした。
『黄帝内経・繆刺編』には「人は高所から落ちたら、悪い血が腹の内に溜まって腹が膨れ、腰をかがめたり仰ぐことも出来なくなる。大小便を通じさせる薬を飲んだ方がよい」と書かれています。つまり、高所から落ちたら、上でいえば厥阴脈(肝臓と関連ある)を、下でいえば少陰脈(腎臓に関連ある)を損ねると、足首内側の「然谷(ねんこく)」というツボを鍼で刺して少し血を出します。効果がなければ、また足の甲の動脈、或いは足の親指の「大敦(たいとん)」というツボを刺して血を出すと、直ちに良くなります。病症は左側にあれば右側のツボを刺し、右側にあれば左側のツボを刺すのです。
転んで怪我をしたら、良くない血が腹部に溜まって腹が膨れ、腰をかがめる動作すらできなくなります。一方、この患者は肝臓にガンを患い、痛みがあって、「腹部に悪い血が溜まっている」状況と似ているのではないでしょうか。 大小便を通じさせ、彼の左側の「然谷」と「大敦」のツボを刺して血を出す処置が、効果があるだろうと私は考えました。
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