「暴力と病気が蔓延」すし詰めの拘束施設
バイデン政権が発足してから大勢の人々が米南部国境に押し寄せている。エポック・タイムズは拘束施設内の様子について、国境警備隊の一人から話を聞いた。
ここはテキサス州南部にある施設。尿や嘔吐物の臭いが充満し、保護者がいない未成年者の部屋ではケンカが絶えない。疥癬、シラミ、インフルエンザ、COVID-19が蔓延している。
プラスチックのシートで区切られた部屋(7m×9m)に最大80人が収容されている。マットレスは十分に行き届かず、床に寝る人もいる。
「ここにはどんな病気もある。臭いもひどい」と国境警備隊のカルロス(仮名)は言う。
彼によると、1~2人の警備隊員で300~500人の不法入国者を管理している。施設内で暴力沙汰や性的虐待が起きても、職務怠慢と言われることを恐れ、それを報告する隊員はいない。子どもが実の親と一緒ではない場合、同伴者が親戚であっても、警備隊は同伴者から子どもを引き離すよう求められている。
親を伴わない18歳未満の子どもが急増している。72時間以内に彼らを保健福祉省に移送することが法律で義務づけられているが、「今はとても手に負えない」とカルロスは言う。当局の対応が間に合わず、子どもたちは10~12日間も施設に留まっている。
昨年10月1日からこれまでに国境警備隊が拘束した未成年者は2万9千人を超える。保健福祉省(HHS)は3月23日、同省の難民再定住オフィス(Office of Refugee Resettlement)が約1万1350人の子どもを収容していることを認めた。
カルロスによると、同伴者のいない未成年者の場合、すでに彼らの両親や家族がアメリカで待っているケースが多いという。住所が書かれたメモを警備隊員に渡し、「ここに私を送って」と頼んでくる子どももいる。同伴者のいない未成年者のほとんどは、中米のホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドルの出身だ。彼らは、レイプや命の危険があることを承知で5歳以下の子どもたちを国境へ送ってくる。
2012年からメキシコで活動している国境なき医師団(MSF)の報告によると、メキシコを通過する移民の3分の2が、これまでの移動の途中で、拉致、窃盗、恐喝、拷問、レイプなどの被害に遭っている。また、女性の約3人に1人が性的虐待を受けたと答え、そのうちの60%がレイプによるものだ。
家族はすぐに釈放される
子どもをアメリカに連れてくれば、家族はすぐにアメリカ国内に釈放されるというのが移民の間で常識になっている。人気の行き先はヒューストンやニューヨーク、カリフォルニアなどの大都市で、移民は飛行機の準備が整うまで2~3日ホテルに宿泊する。もちろん、宿泊費を負担するのは納税者だ。
カルロスは、バイデン大統領による寛大な移民政策が現状を招いたと批判する。
「彼ら(移民)はバイデンが大統領になる前からドアが開かれることを知っていたし、準備をしていた。そして今、我々はそれを止められなくなった」
バイデン政権は拘束施設へのメディアの立ち入りをほとんど許可していない。人目を避けるために、今では不法入国者を私有地に移してから手続きを行うよう要請しているという。
カルロスはバイデン大統領の方針について、「国境で起きていることを知られたくないからだ。自分をよく見せたいのだろう」と話す。
バイデン政権は国境での現状を「危機」とは呼んでおらず、バイデン大統領は3月21日に「いつかは」国境を訪れると話している。
(大紀元日本ウェブ編集部)