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チベットの光 (18) 追手

 ウェンシーとフェイマオタイは呪法が成功したのを確認すると、自分たちの風雨を招く能力を目の当たりにして、他人の命運をほしいがままにできたかのように感じた。この二人の若者は、血気にはやる年代である。しばらくの間は興奮さめやらず、やった事の結果がどういうものになるかを考えてもみず、また将来大きな罪悪と応報にあうことも考えていなかった。

 任務を終えると、二人は暴風雨でびしょ濡れになったので、山の洞窟の中に入り、火を起こして暖をとることにした。

 このとき、村の猟師たちが偶然洞窟の下を通りかかった。彼らは本来、獲物を捕って豊作の祝賀に供するつもりだったが、不意に空前絶後の雹に遭い、すべてを失ったのであった。

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