<心の琴線> おじいちゃんと孫文、私を結ぶ縁

祖父が亡くなってしばらくしてから、母が「大事なものが出てきたわ」と言って箱を取り出してきた。中身は、私あての手紙。生まれたばかりの赤ん坊の私に、祖父が書いた手紙だった。私の名前の由来や、生まれた時の様子などが優しい語り口で書かれている。物静かだった祖父が、手紙では饒舌なのが意外だった。

 手紙と一緒に出てきたのが、古びた新聞の切り抜きだった。母によると、「いつか役に立つかもしれないから」と取っておくように祖父から言われたのだという。新聞には、数千年前の蓮の花が咲いたという話が書かれている。

 蓮の話の由来は、私の父方の曽祖父と中国の政治家・孫文の関係にさかのぼる。一代で海運会社を成功させ、巨万の富を築いた曽祖父は、孫文と親交があった。その頃、中国での革命が失敗し、何度も日本に逃れてきた孫文を支援する日本人は多かったが、曽祖父もその中のひとりだった。曽祖父は孫文の人柄に惚れ込み、現在の価値で数十億という資金を彼に提供した。孫文が借用書を渡すと、曽祖父はそれを目の前で破り、「金を返す必要はありません」と言ったという。感激した孫文は、4粒の蓮の実を曽祖父に渡し、その後は親族が大事に保管していた。数十年後、鑑定により蓮の実は2千年前のものと分かり、専門家の手によって開花した。「孫文蓮」と名づけられた蓮は毎年、山口県の長府庭園で花を咲かせている。

▶ 続きを読む
関連記事
二百年同じ井戸水で豆腐を作る京都の職人や、一生ものの伝統工芸品。効率よりも誠実さを選び、自らの心を映す「ものづくり」の姿勢から、世界中を惹きつけ信頼される日本固有の「信」の精神を紐解きます
テスラのCEOのイーロン・マスク氏の面接方法は独自のもので、その中でも特に好んで尋ねる一つの質問は、うそをついている人物を見分けるのに役立つことが研究でも確認されている。その方法とは
激闘の直後も更衣室を清掃する日本代表と、スタンドのごみを拾うサポーター。勝敗を超え、静かに受け継がれる「礼」と他者への敬意の美徳が、一枚の畳まれたタオルを通じて世界中の人々に深い感銘を与えている
喉の乾き、だるさ、イライラが気になる処暑。冬瓜とゴーヤを組み合わせるだけで、夏の名残の熱を冷まし、初秋の体を整える食卓に。
50歳を過ぎると、体重よりも大切なのは「脂肪を減らし、筋肉を守ること」。食事と筋トレの見直しが、動ける体を支えます。