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チベットの光 (9) 師事

 ウェンシーが出発した後も、母は名残惜しそうに遠くまで見送り、その手をとると涙ながらに彼を見つめた。この眉の濃い息子は成年に達したものの、ここまで無数の苦労を経験した。その顔にはまだあどけなさが残り、母に対する思いと天性の美しい気質以外は、彼はまだ単純で世間を知らないように見えた。

 二人は対面して語らず、沢山言いたいことがあるように見えたが、黙して何も語らなかった。しばらくして、母がその静寂を破った。

 「ウェンシー、くれぐれも親子のこの惨状を忘れてはいけませんよ!必ずや呪文を学んで仇を討つのです。あなたはこの可哀そうな老いた母を覚えておいて、必ずや復讐するのですよ」。母はここまで言うと名残惜しそうに涙を流したが、その瞳には怨恨の決意が宿っていた。そして、最後に息子の心に刻みつけるように言った。

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