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【歌の手帳】やまと歌の心

 やまと歌は人の心を種として萬(よろず)の言(こと)の葉とぞなれりける。世の中にある人、ことわざ繁きものなれば、心に思ふことを、見るもの聞くものにつけて、言ひ出(いだ)せるなり。花に鳴く鶯、水に住む蛙(かはづ)の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける。力をも入れずして天地(あめつち)を動かし、目に見えぬ鬼神(おにがみ)をもあはれと思はせ、男女(をとこをんな)の中をもやはらげ、たけき武士(もののふ)の心をも慰むるは歌なり。(古今集仮名序、冒頭部分)

 日本で漢詩を「からうた」と通称したのに対して、和歌をもちろん「わか」とも言いましたが、ここでは「やまとうた」と呼んでいます。

 中国に漢詩がなかったら中国でありえないように、日本人と和歌が、切っても切り離せない関係であることは言うまでもありません。引用した古今集仮名序の冒頭にあるように、和歌は、人の心をその源泉として無限の言葉が綾なす、美しい文学です。

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