【紀元曙光】2021年2月1日

竹山道雄『ビルマの竪琴』は1947年の作品。

▼児童向けの文学だが市川崑監督によって2回映画化されている。物語の主人公は、中共の反日思想で固められた中国人には理解不能であろうが、歌を愛し、人間味ゆたかで心優しい日本兵たちである。

▼第二次大戦の最末期である1945年7月。ビルマ(ミャンマー)奥地に取り残され、英軍の追撃を受けながら敗走する日本軍の小隊がいた。苦しい日々を支えたのは、音楽学校出身の小隊長が兵たちに教えた歌である。月の明るい夜、敵軍を前に一触即発で対峙する彼らを救ったのは、水島上等兵が奏でる竪琴の音色に合わせて、敵味方の両軍が唱和する「埴生の宿」であった。小隊は投降し、戦闘は終わった。

▼ビルマの戦野に散った無数の戦友の御霊を弔うため、現地に残って僧侶となった水島上等兵は、竹山道雄が描きたかった当時の日本人の「こころ」であっただろう。そういう意味で、この童話は、深く傷ついた祖国に作者が巻いた白い包帯なのである。

▼日本が去ったミャンマーでは1948年まで英国の統治が続く。建国の父として今も国民の尊敬を集めるアウンサン氏が目指したのは、一にも二にも「英国からの独立」であった。そのアウンサン氏が、祖国独立の前年に暗殺されたのは悲劇と言うしかない。さらに60年代から80年代まで、思想は中共影響下の社会主義で、政府は軍事政権という暗黒が続く。

▼先ほど、アウンサン氏の長女スー・チーさんが拘束された、とロイターが速報した。詳細はまだ不明。ミャンマー民主化への道は、今も平坦ではないようだ。

▶ 続きを読む
関連記事
抗生物質だけでなく、身近な薬も腸内細菌に影響する可能性がある――。中医学では胃腸を「土」にたとえ、体を育てる基盤と考えてきました。腸の乱れを別の角度から見直すヒントです。
むずむず脚症候群はパーキンソン病リスクと関連する一方、治療薬が発症を抑える可能性も示されました。最新研究が明かす両疾患の意外な関係と、正確な診断の重要性を解説します。
冬になると腰や膝が冷え、関節が動かしにくくなる――。中医学では、こうした不調は体の内側の冷えと関係すると考えられています。かぼちゃと小豆の「いとこ煮」は、巡りを整える養生食として親しまれてきました。
透析患者の命を脅かす心筋梗塞リスクを、魚油が大きく下げる可能性が示されました。大規模臨床試験が明らかにしたオメガ3の効果と注意点を解説する注目の研究報告です。
抜け毛や白髪は年齢だけの問題ではないかもしれません。中医学では、髪の状態は「腎のエネルギー」と深く関係すると考えられています。下半身の簡単なストレッチが、髪の健康を支えるヒントになる可能性も。