【紀元曙光】2021年1月26日
世界史は、ある期間において、白色人種の視点から進められた。
▼教科書にもある「大航海時代」は15世紀半ばから17世紀まで、主としてポルトガルやスペインによって大規模航海がおこなわれた時代をいう。中国人は、これを容認しない。15世紀初め、明の永楽帝の命をうけた鄭和(ていわ)が大艦隊を率いてアフリカ東岸にまで達している。彼らは「中国こそ大航海時代の先達だ」と自尊心にかけて主張する。
▼時代は下って1788年1月26日。地理的にはもちろん白人に「発見」されていたが、先住民が長く生活を築いていたその大陸に、英海軍の退役将校アーサー・フィリップが率いる約1500人の植民地建設団が上陸。英国の領有を宣言し、入植を開始した。今日のオーストラリアであり、この日を記念して「オーストラリア・デイ」と呼ぶ。
▼第一次入植者の半数は流刑者であった。英国では、産業革命を契機に、農村の余剰労働力が都市部へ大量に流れ込んだが、それらの全てが職を得られたわけではなかった。失業者となり犯罪に走るものも多くなったため、本国の刑務所に収容できない受刑者を、この新たな植民地にもってきた。
▼もう過去のことだが、この国では、記憶にある昔(1973年)まで「白豪主義」をとっていた。白人でない有色人種や先住民は、差別の対象とされたのである。
▼人種差別がその近代に暗い影を落としたのは、米国だけではない。ただオーストラリアという国は、寝袋を担いで放浪するワルチング・マチルダの歌詞のように、伸びやかな明るさを感じられるところが救いである。
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