【紀元曙光】2020年10月3日

食文化というと少々硬い。要するに「昔から食べてきた」ということだ。

▼日本食は、ヘルシーということで海外でも歓迎されるらしい。そう言われるのは嬉しいが、日本食だって食べすぎれば見事なメタボになる。

▼20年ほど前に、福岡から東京まで格安の夜行バスに乗ったことがある。座席は、もちろん日本人の体格に合わせたサイズだ。そこへ乗り込んできたのは、力士のように肥って大きい外国人バックパッカーの男女。困惑の表情で、せまい通路をとおって最後部の席へいったが、いくら格安とはいえ、あれは無茶というものだろう。

▼日本人は、新鮮であることを前提に、生ものを食べる。寿司や刺身ばかりではない。生卵をかけたご飯を、無上のごちそうとしている。小欄の筆者も、おそらく過去の人生で2万個ほどの生卵を消費してきただろうが、今は信仰上の理由から、動物性の生ものは口にしない。とくに生肉は、魚介もふくめて厳禁である。

▼ときに中国人は「四つ足のものは、テーブル以外何でも食べる」などと、その食欲の旺盛さを自慢したりするが、基本的に「加熱調理したものなら何でも食べる」の意味である。また、中国料理の調理法はそれができる、ということを言いたいらしい。

▼生のカニを大量に食べて、寄生虫による病気になった中国人女性がいたという。「健康増進」のためというが、もちろん中国人だって、通常こんな無茶なことはしない。つまり、何かが狂って、人間の食事ではなくなってしまったのだ。特殊すぎて普遍化できる例ではないが、今の中国では、何が起きても不思議ではない。

▶ 続きを読む
関連記事
新年を迎えるため、12月下旬になると、各家庭では家の内外を隅々まできれいに掃除し、同時にさまざまな飾り物を設置して、新しい一年が順調に進むよう祈願します。これらの飾りには、それぞれ異なる意味が込められています
成長を求めるほど、人生が窮屈になることはないか。自己改善が自己中心へと傾く矛盾を描き、意図性と余白の大切さを問い直す一篇。頑張りすぎて疲れた人ほど、今の生き方を静かに見直せます。
食べ過ぎや胃の重さが気になる季節に。冬のスパイスを使ったやさしいミルクが、消化を穏やかに支え、心と体を温めます。知っておきたい理由と簡単レシピを紹介。
頭を打った経験が、将来の認知症リスクに影響するかもしれない。中医学と研究知見から、マッサージ・食事・自然で脳を守る実践法を解説。日常でできるケアが見えてくる一篇です。
速度無制限で走れる道路が、世界にわずか2カ所だけ存在することをご存じだろうか。夢と危険が隣り合うマン島とドイツ・アウトバーン。その実態と意外な背景をご紹介。