【紀元曙光】2020年9月26日

(前稿より続く)今では考えられないが、その頃の日本は、そんなものだった。

▼やはり社会全体として、環境はきれいにしなければならない。そのために、行政に求めるばかりでなく、市民が個人でできる努力を、意識的かつ持続的に重ねる必要がある。

▼今日それを意識できるようになったのは、日本国民が昭和中期に、経済発展と表裏一体であった大公害時代を、ほとんど恐怖にちかい感覚で経験したことが発端となっているだろう。映画の世界ではヘドラなどという公害怪獣まで登場した。あれは確かに、ホラー映画のように気持ち悪かった。自分で勝手に吸っている煙草のけむりが、周囲の人の健康を害するという意識をもてたのも、昭和の後半に入ってからだった。

▼民度の高さとは、言いかえれば他者を思いやる良心の分量である。その分量が多ければ成熟した安定社会が生まれ、たとえ大規模災害が起きても、市民の助け合い意識によって社会秩序は保たれる。少なければ、集団的な獣性が出てしまい、略奪暴動の惨劇となる。

▼それは個別の人情の篤さとは、まったく別の尺度である。家族が飢えているからといって、他人の畑の作物を盗んで食べさせてはならない。そうした限定的な規範意識は分かりやすいのだが、「公共」という概念になると、時として人間の倫理観がゆるむ場合がある。「見つからなければいい」「こっちは税金を払っているんだ」など、身勝手な言い訳はいくらでもできるからだ。

▼日本人は民度の高い国民であると筆者は信じている。ただ、その日本人にも、発展途上の段階があったことを、今書こうとしている。(次稿に続く)

関連記事
寒い季節こそ、ゆったり過ごし心身を整えるチャンス。睡眠や食事、メンタルケアで冬を快適に楽しむ方法をご紹介します。
50年以上前から次世代の食料として研究されてきたオキアミ(プランクトン)。クジラなどの海洋性生物にとっては生存のための原初的な存在だ。そのオキアミからとれるオメガ3が注目されている。本文にあるようにオメガ3は人の健康にとっても有益なものだ。クリルオイルは、オメガ3と抗酸化成分が豊富で人気のある健康補助食品。フィッシュオイルに比べてコストが高い点が難点だが……
仏に対抗しようとした調達が、暗殺未遂や陰謀を重ねた末、地獄に堕ちるまでの報いの物語。
「犬に散歩される」気の毒な飼い主たち、笑っちゃってゴメンの面白動画→
過度な運動や減量で陥りやすい「低エネルギー可用性」。エネルギー不足が体に与える影響とその対策について、専門家のアドバイスを交え解説します。