米、中国半導体最大手への制裁検討 軍事用の疑惑か
9月4日、ロイター通信などの報道によると、米政府当局は、半導体受託生産の中国最大手「中芯国際集成電路製造(SMIC)」を輸出規制の対象に追加することを検討している。報道を受け、SMICの株価が7日の香港市場で23%急落した。
6日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が消息筋の話として報じたところによると、米国の防衛請負業者SOSインターナショナルは先月発表した報告書で、SMICが中国軍の国防建設プロジェクトを支援していることを示し、米政府に警鐘を鳴らしたという。
報告書によると、SMICは中国の大手国有防衛企業と提携している。また、軍事的背景を持つ中国の大学の研究者らは、SMIC製品の要求事項に対応する技術を開発している。大学のうちの一つは、スーパーコンピューターを利用したシミュレーション(核実験)を実施した疑いで、2015年に米国商務省の輸出禁止対象のブラックリストに登録された。
報告書は、「中国の軍事アカデミーや防衛産業向け工業団地の研究者は、SMICの製品仕様を研究するため、SMICのプロセスやチップを使用しており、他の工場ではチップを生産していない」とした。また、結論を裏付けるため、中国の軍事大学が発表した論文も引用している。
情報筋によると、同報告書は米商務省の産業安全保障局と今回のリスク評価に関わる米政府当局者など、トランプ政権の複数の機関で閲覧されているという。
WSJによると、トランプ政権がSMICをブラックリストに載せるとすれば、それは中国通信機器最大手である華為技術(ファーウェイ)への制裁と同じ手順を踏む可能性があるという。米政府は、ファーウェイを禁輸対象の「エンティティリスト」に追加した後、一連の制裁強化措置を次々と打ち出し、ファーウェイをいよいよ窮地に追い込んでいる。
SMICの香港上場株は9月7日、23%下げ、7月16日のハイテク株暴落以来の最大の下落となった。SMICの取引先やサプライヤーの株も下落している。GigaDeviceと北方華創(NAURA)は約9%下落し、大唐電信は3.1%下落した。SMICの競合社、半導体ファウンドリー大手の台湾UMCは9%以上駆け上がった。
SMICは5日、同社のWeChat内の公式アカウントで長文の声明文を掲載し、自社の製品とサービスは民間および商用利用のみを目的としており、軍事利用目的ではないと主張した。
2000年に米国と台湾のチップ企業のベテランによって設立されたSMICは、中国最大の受託チップメーカーに成長した。他のチップメーカーと同様に、SMICは米国企業の高度な技術に頼ってチップの製造とテストを行っている。
(翻訳編集・王君宜)