在中米国大使館がエンブレムを変更、「中国」が消える 憶測飛び交う

米中対立が深まる中、中国北京市にある米国大使館は8月10日、SNSの微博とツイッター(中国語アカウント)にあるエンブレムのデザインを更新した。新しいエンブレムには「中国」との2文字が消え、「北京」だけが残っている。中国人ネットユーザーの中でさまざまな憶測が飛び交っている。一部は、米側が中国共産党政権を合法的な政権だと認識しなくなったのではないかと推測した。

旧デザインのエンブレムは、上側が中国語で「米国駐華大使館」との文字が書かれ、下側は「北京・中国」となっている。文字が白色で、地色は青となっている。新しいエンブレムは地色の青色が消えたほか、「中国」との文字もなくなった。

米国大使館は12日、ツイッターに投稿し、エンブレムを更新した理由について、「米国務省による米国在外公館ブランド計画の一環だ」と説明した。同投稿された写真には、ジンバブエやミャンマーなどの一部の国にある米国大使館のエンブレムがあり、在中国の米国大使館の新エンブレムと同じデザインが用いられている。

これに対して、中国人ネットユーザーは11、12日、米国大使館のツイッターアカウントで、「中国北京を北京に変えたのは、もうすぐ台北に大使館を設置するためですか?」「台北で大使館の開設を歓迎」「脱『中国』化を支持する」「繁体字にしたら、もっと良い」などとコメントを残した。「駐華大使館」は「駐中華民国大使館」との意味を捉えることができるからだ。

またツイッター上で、東京と韓国ソウルの米国大使館のエンブレムを挙げて、在中国の米国大使館がエンブレムを変更した本当の理由は、米政府は中国共産党政権を合法的な政権とみなしていないからだとの見方を持つ人もいる。東京とソウルの米国大使館のエンブレムは、中国やジンバブエのエンブレムと違うデザインになっている。

エンブレムの変更のタイミングは、米国のアザー厚生長官の歴史的な台湾訪問と香港当局のメディア王や民主活動家らの拘束と重なった。

香港当局は10日、地元紙「蘋果日報(アップルデイリー)」などを傘下に持つメディア企業、壱伝媒(ネクスト・デジタル)創業者の黎智英(ジミー・ライ、71)氏や、女性民主活動家の周庭(アグネス・チョウ、23)氏らを、国家安全維持法違反の疑いで逮捕した。

北京にある米国大使館は、黎氏らの拘束に関するポンペオ国務長官のツイッター上の投稿を中国語で転載した。ポンペオ氏は「CCP(中国共産党)は香港の自由を奪い、国民の権利を侵害したことのさらなる証拠だ」と強く非難した。

一方、台湾の蔡英文総統は10日、訪台したアザー厚生長官と会談した。アザー氏は、米台が1979年に断交して以降、訪台した最高位の閣僚だ。台湾外務省は「歴史的な訪問だ」とした。アザー氏は会談で、台湾の中共ウイルス(新型コロナウイルス)対策は「世界で最も成功した」と称賛し、今後、米台両政府が公衆衛生や医療の分野で協力関係を強化していくと示した。

大紀元コメンテーターの沈舟氏は、在中国の米国大使館がエンブレムを変更したことは、「米政府は引き続き中国国民と交流するが、中国共産党離れを加速させるとのシグナルを送ったのでは」と分析。

ポンペオ米国務長官はこれまで、公の場で複数回「中国共産党政権は中国ではない」と発言してきた。

(翻訳編集・張哲)

 

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