【紀元曙光】2020年7月11日

(前稿より続く)しかしながら、この物語は、中国においても、民の苦しみを顧みず暴政を行うものは、必ず自らを亡ぼす、という。

▼端的に言えば「自滅」である。他者からの革命があったとしても、その結末を招いたのは自業自得。つまり自身の罪過に他ならない。クーデターによって唐の玄宗皇帝を長安から追い出し、自ら「大燕皇帝」と称した安禄山は、1年も経たずに実子である安慶緒に殺された。奢れるもの久しからず。誠に儚いものである。

▼今は2020年7月。この現代日本が中世でないことはもちろんだが、次々惹起される事象は、なんと無常の現世を体現していることだろう。もう思い出すこともなくなったが、今年の初めは、東京五輪とそれにともなう経済効果に期待が高まっていた。まさか半年でこうなるとは、誰が予測し得ただろう。これが無常の世というものかと、改めて思う。

▼鎌倉時代の前期に書かれた随筆、鴨長明『方丈記』の冒頭。「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし」。

▼この世にある、人も、その棲み家も、川面に浮かんで流れる泡のように儚いものだと言う。その通りかも知れないが、それにしても、先日来の豪雨による川の氾濫で被害に遭った地方のことを思うと、まことに気の毒としか言えない。天に意思があるならば、せめてその訳を聞かせてほしいと求めたくなる。

▼ただ、中共ウイルスが全世界に撒いた惨禍については、日本にも反省すべき点がある。(次稿へ続く)

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