研究報告によると、中絶を経験した女性は、長期間にわたり心理的なダメージを受けるという。この原因で、一部の女性は中絶で望まない妊娠を解決することに反対し、また一部の女性は中絶の選択権を放棄したくないが、より多く専門家の助言が必要だと考えている。
医学情報誌「BMC Medicine」2005年12月号に掲載されたオスロー大学の研究結果によると、中絶の経験は、流産より長期間にわたるネガティブな心理的影響を引き起こすという。この調査は、中絶を経験した女性80人と、流産を経験した女性40人を対象に行われた。全ての対象者は、中絶もしくは流産の10日後、6ヵ月後、2年後、5年後にアンケート用紙を渡される。このアンケートの調査内容は、「この出来事による受けた衝撃の度合い」、「医学的な不安と憂鬱の度合い」、「妊娠中絶に対する個人的な気持ち」が含まれる。
流産した女性のうち、48%が10日後になってもひどく落ち込んでいると答えたのに対し、中絶の場合は30%だった。しかし、流産を経験して落ち込んでいた女性は、その後6ヶ月すると23%まで減少し、5年後には2.6%まで減少した。
一方、中絶を経験し、ひどく落ち込んでいると答えた女性たちは、その後6ヶ月を経ても26%が悲しみ、罪感、落ち込み、自己嫌悪、自己否定などを感じている。5年後にも、まだ20%の女性が落ち込みを感じていると答えた。
ニュージーランド・オタゴ大学の「クライストチャーチ市・保健体育研究機関」は、ニュージーランドで生まれた1265人を対象に追跡調査を行なった結果、500人の女子のなかに、妊娠を経験したのは205人、中絶を経験したのは90人だった。中絶を経験した女性のうち、42%が過去4年間にうつ状態に陥った経験があり、この数字は他の女性の2倍である。中絶を経験した女性の中に、極度の不安、アルコール中毒の有症者が一般女性の2倍、薬物依存者が一般女性の3倍、自殺願望がある人も一般女性より多い。
フィンランド国立保健福祉研究開発センター1997年の統計によると、1987年から1994年の間に出産、流産、中絶などを経験してから一年以内に亡くなった15歳から49歳の女性の中に、中絶を経験した女性は、自殺、殺人、事故、自然死などで死亡確率が、他の女性より4倍も高い。
「米国人権擁護団体(National Right to Life)」代表のワンダ・フランツ博士は、フィンランドの研究を高く評価し、「彼らは長期・短期の両方から調査しており、これは非常に重要である。なぜならば、過去の調査結果を見ると、長期的影響が確かに存在していることが明らかになっている。アメリカで中絶の権利を主張する人たちは、これらの問題をほとんど無視している」と述べた。
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