【紀元曙光】2020年5月24日

「どこの国の公共放送か?」と思ってしまった。

▼昨日、NHKの番組『封鎖都市・武漢 76日間 市民の記録』を見た。小欄の筆者は、かの放送局に対して、特別な感情を持たないよう「努力」はしている。ただし中国関係で、あまりに不用意な番組作りをされては、一言申さざるを得ない。

▼同番組は、1月24日から封鎖された武漢で人々がどう生きたかを、「市民の目線」で描いている。ただ、番組全体としては、中国の国営放送とさほど変わらない。死亡した李文亮医師についても、「烈士になった」で終わっている。甘ったるい失敗作と言うしかない。理不尽な政治に肉薄する、ジャーナリズムの気迫が微塵も感じられないのだ。

▼大紀元は、中国共産党の邪悪な本質を全て報道する。その傍らで貴局NHKは、まるで日本国民が「武漢は大変だったけど、今は収まったみたい。良かったね」と誤解するような番組をせっせと作る。同業者の衷心から申し上げるが、それは貴局にとっても信用の失墜につながるのではないか。

▼郭晶さんという武漢の女性が、当局の情報規制をかいくぐって、自身の日記をSNSで発信。ネットラジオの故事FMも、武漢の医療現場の実情を伝えた。そうした草の根の存在は、もちろん取り上げて良いが、それだけでは不十分だ。

▼「中国政府発表によると」の前置きはあるが「死者数3800余人」と伝えてしまった。死者数は「膨大すぎて不明」が、現在の正しい答えである。画面に映っていないところに、今も地獄絵図がある。無数の亡者の慟哭を、貴局の方々も、耳を澄まして聞かれよ。

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