琴の名人
本当の師匠はだれ?
春秋時代のお話です。晋国の大夫(中国古代の官職)である伯牙(はく・が)は、琴の名人でした。彼は若い頃、成連(ちぇん・りぇん)に琴を学び、3年が経った頃、琴弾きの技術をすべて身につけました。しかし、情感のある美しい音色を奏でることはできませんでした。
成連は言いました。「私の師匠が、東海の蓬莱山(ほうらいさん)にいる。彼の琴の音は非常に美妙で奥深く、また人に教えるのがとてもうまい。彼の教えを請うことにしよう」
そして二人は、船で蓬莱山に渡りました。成連は「君はここで練習をしていなさい。私が先に、師にご挨拶をしてくる」と告げ、船で去って行きました。
伯牙は長い間、一人で琴を弾いていましたが、いくら待っても成連は現れません。島には誰もおらず、遠く離れたところに静かな山林があるだけです。一人取り残された伯牙は、ただ毎日大波が岩にぶつかる音を聞き、青い海を眺め、空を羽ばたく鳥たちのさえずりを聞いていました。
ある日、伯牙は思いました。「実は、師匠などいないのではないだろうか?よし、今は不安を捨てて、自分が見たままの情景を琴の音に込めてみよう」。周りのすべてが消えてしまったかのように、彼は我を忘れて琴を弾き続けました。曲が終わると、師が戻ってきました。
成連は微笑みながら、「伯牙よ、この偉大なる大自然こそがあなたの最高の師匠だ」と彼に告げました。伯牙はハッと悟り、師に深々と頭を下げました。
(翻訳編集・豊山)
関連記事
「血管の老化」が心筋梗塞や脳卒中を招く⁉ でも安心。ブロッコリーやリンゴなどの“若返り食材”と、1日3分の簡単運動で血管年齢は変えられる!
かつて菜食主義を信じていた有名シェフが、自然と命の循環を見つめ直し、再生農業の道へ。すべての命が関わる「ほんものの食」とは何か──その答えがここにあります。
人生のどん底で出会った一冊の本が、心と体に奇跡をもたらした──書道家や太極拳指導者、そして46年の病を抱えた女性。それぞれが法輪功に出会い、人生が一変した体験とは?
夜中に突然、ふくらはぎが激痛…その原因と対処法、そして予防に効く10の食材とは?中医学の知見を交えて、こむら返りの根本対策を紹介!
春に桜餅を食べるのは、実は理にかなっていた?小豆・もち米・桜の葉がやさしく体をととのえる理由とは──春の不調に寄り添う、薬膳和菓子の知恵を紹介。