北京の紫禁城を背景に写真を撮る女性(GettyImages)

「米軍持ち込んだ」と中国側主張 米専門家「反米で市民の不満解消狙う」

中国政府の高官が、パンデミックの爆心地となった武漢に米軍が中共ウイルス(新型コロナウイルスとも呼ぶ)を持ち込んだ可能性があると示唆したことを受け、米国務省は3月13日、駐米中国大使を国務省に召喚した。

この召喚は、中国外務省の趙立堅副報道局長がツイッター (中国ではアクセス不能) への一連の投稿で、米国がこのウイルスについて何を知っているのかを明らかにしていないと非難し、流行が米国で発生したという根拠のない陰謀説を主張したことを受けて行われた。

「ゼロ号患者が米国で確認されたのはいつ?感染者数は?病院の名前は?」と趙氏は中国語と英語の両方で書いた。

さらに同氏は、「武漢にウイルスを持ち込んだのは米軍かもしれない」とツイートした。

「事実を公表しろ!データを公開しろ!米国は私たちに説明する義務がある」と付け加えた。

ロイター通信は匿名の米国務省官僚の話として、米国務省のデービッド・スティルウェル次官補(東アジア・太平洋担当)が中国の崔天凱駐米大使を国務省に呼び、「厳しいメッセージ」を伝えたと報じた。同官僚は、崔氏は「非常に防御的」で、中国は「世界的な大流行を引き起こしながら世界に隠蔽した」責任についての批判を避けようとしていると指摘した。

また、同官僚はロイター通信に対し、「陰謀説を広めるのは危険でばかげています。中国の人々と世界のためにも、これを容認しないということを中国政府に知らせました」と語った。

別の国務省官僚は大紀元英字版に宛てたメールで、「米国側は、世界的なパンデミックとなったこの事態に関する中国政府の筋書きが、1月中旬以降、武漢華南海鮮卸売市場から離れつつあることに気づいていました。これは中国政府が世界的大流行の責任から逃れようとしていることを示しています」と話した。中国政府は感染が始まった当初、武漢華南海鮮卸売市場が感染源である可能性が高いとしていた。

同官僚は、「米国は責任の追及には関心がありませんが、中国内外の人命がこれ以上失われることを防ぐために、中国政府に全面的な情報公開と透明性を求めています」と付け加えた。

一方、中国国営メディアは、米国が中国を中傷していると非難し、中国のウイルス流行への対応能力を称賛している。

国営メディアのチャイナデイリー(China Daily)が3月5日に掲載した記事では、共産党政権の大流行への対応を「誇るべき物語」と表現している。

タカ派の国営メディア「環球時報」は、「自国のウイルス対策の失敗を中国のせいにするのは憎むべきものだ」と題した社説を掲載し、「これまでのところ、科学界でさえこのウイルスがどこから来たのか結論は出ていない」と主張した。

中国の専門家で、『来るべき中国の崩壊』の著者であるゴードン・チャン氏は大紀元の最近のインタビューで「アメリカに対して繰り返されている容赦のない工作には悪意があり、無責任で、もちろん間違いであり、危険です」と述べている。

「中国が世界を助けるために有益であるという考え自体が間違っていて、危険です」

チャン氏はまた、今後も同じようなプロパガンダが続出すると考えている。

「中国共産党は、党が生き残るためにはこれが不可欠だと考えているので、必死にこのような主張を続けるでしょう」とチャン氏は述べた。「米国にとって中国の国民は仲間であり、敵は共産党政権であることを忘れてはいけません」

米国を拠点とする人権団体フリーダム・ハウスの中国、香港、台湾担当シニアリサーチアナリストであるサラ・クック(Sarah Cook)氏は大紀元英字版に対して、「この手の陰謀説がソーシャルメディア上で広まり、当局がそれに便乗し、人々を実際に納得させていることに気づいた後、物語を増幅させた」と電子メールで述べた。

さらに、この「反米の物語」は中国の多くの人々の共感を呼んでおり、ある程度「怒りと欲求不満を党から遠ざけることに成功しました」と指摘した。

国務省のグローバル・エンゲージメント・センターを率いるレア・ガブリエル(Lea Gabrielle)氏は3月5日の上院公聴会で、ロシアと中国がウイルス危機を利用して偽情報工作を強化していると警告した。

(大紀元日本語ウェブ編集部)

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