広州市と深セン市、個人資産収用を緊急立法「実質上、軍の管理下に置かれる」
中国広東省広州市と深セン市の人民代表大会(議会に相当)は2月11日、防疫対策の一環として、両市政府が緊急時に個人資産を収用できるよう立法した。専門家は、中国当局が新型肺炎の感染拡大を口実に、市民の資産や物資を強制的に没収する恐れがあるとの見方を示した。
両市の人民代表大会は11日、緊急立法を通じて、市政府と各区政府が感染状況に応じて「個人の土地、交通ツール、設備などの物資を収用することができる」とした。同時に、企業に対して防疫物資や生活必需品の提供を要求した。
中国在住の時事評論家・呉特氏は大紀元に対して、「広州市と深セン市の緊急立法について驚かない。他の地方ではすでに、法的な手続きを踏まないで、個人資産を強制的に収用している。補償金は非常に少ない。全くもらえない人もいる」と話した。
呉氏は、感染者が急増しているため、「物資が非常に不足している」「中国当局は、物資の強奪行為を常態化、または合法化する狙いがある」との見方を示した。同氏は、当局が広州市などでテストを行い、その後、全国にこの手法を推進していくと説明した。
「中国国内は今、有事に近い状況だ。武漢市は軍の管理下に置かれた。感染がさらに拡大すれば、中国全土が軍の管理下に置かれる可能性がある」
豪州シドニー工科大学の馮崇義教授は、当局の個人資産収用は「国庫補てんの意図がある」との考えを示した。「2019年以降、各地方政府の財政赤字が深刻になった。中央政府がここ数年、海外にばら撒いてきたため、国庫が空になった。当局が新型肺炎のまん延に乗じて、市民の資産所有権を取り上げるのではないか」
共産党中央軍事委員会は2月10日、軍と地方政府の連携や交流を厳禁する13の禁止令を出した。
中国軍にパイプを持つ学者の鄭凱夫氏は「典型的な戦争時の命令だ。同時に、軍の機密情報の漏えいや、一部の軍人が地方政府と関わり合い反旗を翻すことを防げる」と語った。
鄭氏は、広州市と深セン市が緊急に立法したことも「市が軍の管理下に置かれたことを意味する」と強調した。
(翻訳編集・張哲)