旧正月に乗客がごった返す鉄道の駅構内(STR/AFP via Getty Images)

「政府の発表を信じないで」 ネットに医療関係者の告発相次ぐ

中国政府は25日10時30分時点で、新型コロナウイルスによる肺炎の感染者が1330人、死者41人と発表した。しかし、現場の医療関係者が相次ぎ、SNSに投稿し、実際の感染者数は政府の発表をはるかに超えていると訴えている。

武漢市漢口にいる看護師の女性はSNSに投稿した動画で、「9万人の感染者がいる」と発言した。「1人の感染者が隔離されなければ、14人に感染させてしまう。スピードは非常に早い」

もう1人の女性医療関係者はSNS微信で泣きながら「(現状は)テレビの報道よりずっと恐ろしい」と訴えた。「医師らの推定で10万人が感染している」「多くの患者はすでに手遅れ状態です」「(医療)物資が足りない。入院させることができない」「患者に懇願されても、何もしてあげられない。患者が徐々に弱まっていくのを目の当たりにしている」

最後に女性は「くれぐれも政府を信じないで。自分で自分の身を守ってください」と呼びかけた。

この動画は5万回再生された。

武漢市の看護師と名乗る女性もSNS微博に、「報道は事実と全くかけ離れている」と投稿した。

「主人が感染した。8日間も発熱し、CT検査ですでに肺炎にかかっているとわかった。しかし、どの病院にも診断、治療、入院を断られた」 「病室が足りず、医師も看護師も休日を返上して出勤しているが、人手が足りない。それでも患者は救急車でひっきりなしに運ばれてくる」

在米中国人はFacebookに北京の病院に勤務する大学の後輩からの情報を投稿した。それによると、「460床ある地壇病院は全部、埋まった」「地壇病院に行ってきた主任は現状が悲惨だと言っている」「政府の発表は全くのデタラメで、北京市は情報を封鎖している」と北京も深刻な状態にあると明かした。

北京市は24日、新型コロナウイルスによる肺炎の予防・コントロールに関する記者会見で、「突発的な公衆衛生事件に対する第一級(最高レベル)の応急対応メカニズム」を発動したと発表した。

またこのユーザーは確実な情報として、武漢市だけで15万人が感染しており、全国の感染者が20万に上っていると別の投稿で述べた。「全国範囲で戦時状態を宣言する可能性も排除されていない」とも言及した。

 湖北航天病院の医師は微信で、感染者が10万人を超えていると発言した。「病院が地獄のようだ。”助けて”の叫び声があちこちから聞こえている」という。また、箝口令が敷かれているが、「(この発言で)処分されることもいとわない」と語った。

米華字メディア・明鏡新聞の何頻氏は武漢の専門家からの話として、感染者は10万〜15万人いると明かした。

物資不足、超負荷勤務で現場から悲鳴

感染者の急増で、医療物資は不足している。武漢市の8病院は現在の在庫物資が「あと3〜4日分しかない」と窮状を訴え、社会に対して医療用品の提供を呼びかけた。SNSの情報によると、武漢協和病院の医師らは、防護服が最後の一着しかないので、出勤してから食事もトイレも控えているという。

武漢市の病院は医療物資の提供を求めている(ネット写真)

湖北省宜昌市の医師も相次ぎ感染しているが、マスク以外の防護措置は講じられていない。ある医師はSNSで支援を求めた。

「助けてください。仕事をしないといけない。防護服、N95のマスク、保護メガネが必要。病院はすでに調達する能力がない。政府から物資が来ていない。淘宝(ネット通販)からも入手不可能です。多くは要らないから、数セットがあれば十分です」

武漢市第四病院は医師の相次ぐ感染で診療を中止した。

連日にわたる超負荷勤務で「もう耐えれらない」と医療関係者の悲鳴がネットに溢れている。

(李沐恩)

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