中国湖北省武漢市の金銀潭医院(STR/AFP via Getty Images)

中国新型肺炎、武漢市医師「内部で当初からSARSの指摘あった」

中国では新型コロナウイルスによる肺炎の感染者が急激に増えている。1月21日時点で、440人の感染が確認され、9人が死亡したと発表された。感染者が多く出た湖北省武漢市の医師は大紀元に対して、昨年11月と12月には「感染がまん延している状況がはっきりしていた」と話した。

市のコミュニティ衛生サービスセンターで住民に診療を行う魏医師は、「最近は毎日、風邪のような症状の市民が多く診察に来る。午前中だけで、十数人の発熱者が来る」と語った。コニュニティ衛生サービスセンターでは、発熱している市民に対して、体温を測り、血液検査を行っているが、他の精密検査はできないという。さらに深刻な症状が出ている場合、センターは総合病院などより規模の大きい病院に紹介しているという。

同氏によると、昨年11月と12月には新型コロナウイルスによる肺炎の感染は広がっていた。「われわれのセンターでは、1カ月半前から発熱で診察に来る人が多くなっていた。昨年の11月と12月には深刻化していた。その時は、まだインフルエンザだと言われていたので、小学校は休校などの措置を取っていた」

しかし、魏氏によると、その時から医師の間でSARS(重症急性呼吸器症候群)の可能性があるとの見方が広がっていた。「でも医師や医療従事者の家族や友人の間でしか、注意を促すことができなかった」。魏さんは、当初から中国当局が情報統制を敷いており、医師らがその実情を公表したら、拘束される恐れがあったことを示唆した。

同氏のセンターでは、医師らが使うマスクが少なくなっているという。「防護服は大病院しか支給されない。私たちのような小規模な病院には支給されてない」

武漢市江岸区の市民、劉さんによると、昨年12月、市内の病院で勤務する看護師がネット上のグループチャットに、「原因不明の肺炎はSARSの可能性がある」と注意を呼び掛けたところ、警察当局に拘束された。当局はこれ以降、新型肺炎の情報を交換する多くのグループチャットを閉鎖した。

劉さんは、当局が発表する感染者数について「信ぴょう性がない。全く信じられない」とした。

一方、市民の肖さんは、政府系メディアが20日、習近平国家主席の指示や専門家の見解を報道したのを受けて、「初めて事の深刻さに気づいた。今出かける時は必ずマスクを着けている」「周りの人も本当に不安でたまらない」と心配そうに話した。

AFPの報道によれば、フランスの民間の生物・医学研究機関、パスツール研究所(Institut Pasteur)の伝染病研究者、アルノー・フォンタネット主任は20日、新型肺炎ウイルスの遺伝子の8割がSARSウイルスと非常に類似しているとの見方を示した。

(記者・易如、翻訳編集・張哲)

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